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視点を変えれば発見がある 第4回:それは本当に「ボッタクリ」ですか?

2026/05/12

中安昭人の連載コラム

視点を変えれば発見がある 第4回:それは本当に「ボッタクリ」ですか?

【連載コラム】視点を変えれば発見がある

ベトナムに住んでいるといろんな謎に遭遇します。しかし背景を知ると「そうなのか!」と納得することが少なくありません。ベトナム在住日本人のそんな体験を紹介するミニストーリー。コーヒーを片手に気軽にお読みください。

 

それは本当に「ボッタクリ」ですか?

 「またボッタクられました!」
 新米駐在員が憤懣やる方ないという感じで話しかけてきた。それを聞きながら江頭努さんは、30年前、ベトナムを初めて訪れたときのことを思い出していた。
 旅人だった江頭さんは、ベンタン市場でお土産用にTシャツを買おうとしたところ、相場よりもかなり高く売りつけられそうになったのだ。店の主人である中年男性に抗議をした。
「どうして人によって値段が変わるんですか。日本では商品には定価を表示したタグがついているので、値段交渉は不要で、誰でも同じ値段で安心して買い物ができます」
 なかなか流暢な英語を話す主人は顔色一つ変えずこう返答してきた。
「ほう、そうかい。日本では自分の親友にも、見ず知らずの他人にも、同じ値段で売るのかね。変な国だねえ」
 江頭さんは言葉に詰まってしまった。その後、40か国ほどを旅する中でこの言葉を何度も思いすことになる。日本のように定価がある国のほうが少数派だったのだ。
 初訪越から約10年後、ベトナムに駐在員としてやってきた時は、たどたどしいベトナム語でお店の人と話をするように努めた。するとどうだろう、仲良くなるにつれて値段が下がるではないか。
 バイクタクシーを利用したところ、目的地に着いた運転手が「お前は外国人なのにベトナム語を話すいい奴だから」と代金を受け取ってくれなかったこともある。
 ベトナム人に尋ねても「値段交渉は面倒くさい」という。しかし「人間関係に応じて値段が変化する」のには一理ある。江頭さんはそう思うのだ。新米君に自分の体験を紹介した江頭さんは、こう結んだ。
「値段を尋ねた時には10万ドンと言っていたのに、いざ払う段階になって10ドルだと言い出したら、ボッタクリだよね。でも人によって値段が異なるのは、違うんじゃないかな。ベトナムでは親しくなればなるほど値段は安くなるんだよ」

*文中に出てくる社名・人名はすべて仮名です。

中安 昭人(なかやす・あきひと)

執筆者

中安 昭人(なかやす・あきひと)

自己紹介
「ベトナムの伝道師」を目指している編集者・ライター。ベトナムを初めて訪れたのは1995年。趣味は路地裏のカフェ巡り。

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