Column

サイゴン雑記 〜暮らしの断片を拾ってみたら〜 第3回:仕立てる楽しみ、選ぶ楽しみ。ベトナムファッションの現在地

– Vol. 03 – 第3回:仕立てる楽しみ、選ぶ楽しみ。ベトナムファッションの現在地 仕立てる楽しみ、選ぶ楽しみ。ベトナムファッションの現在地 ベトナムで暮らしていて、一番贅沢だと思うこと、それは服を仕立てることの身近さ、です。 + + 市場や生地店で好きな布を選び、街の仕立て屋さんへ持ち込む。まだ画像生成AIなどなかった頃には、下手な絵を描いたりしながら、「袖はこのくらい」「丈はもう少し長く」と身振り手振りを交えて伝えていきました。 その結果、思い描いたものと少し違う服が出来上がることもあったけど、これもまた、ベトナムらしさ。好きな生地が自分だけの一着になる喜びは大きいものでした。 身長154センチの私と、182センチの夫。 チビとノッポの夫婦にとって、既製服には小さなストレスがつきまとう。 私には丈が長く、夫には袖や裾が足りない。 それが、自分の体に合わせて作ってもらうと、するりと収まる。服が身体に合うというだけで、 こんなに気持ちがよいものなのかと感動したのを覚えています。 生地代と仕立て代を合わせても、ワンピース一着が5000円ほどで出来上がることもあり、 日本では少し特別に聞こえるセミオーダーが、ベトナムでは日常のすぐそばにある。 今も街には、使い込まれたミシンがある。 小さな仕立て屋さんや、お直しを請け負う店先で、縫い手たちはこまめに手を動かしています。 私たち夫婦にも、近所にお願いするお気に入りの仕立て屋さんがいくつかあるんです。 けれど、ここ2年ほどで、街の服の景色が少し変わってきました 仕立て屋さんの魅力が薄れたのではありません。 既製服が、急に面白くなってきた、そんな感じです。 若い人たちの装いにも変化を感じます。 以前よりも、黒、白、グレー、ベージュといったモノトーンが目について 大きなロゴやキャラクター、目立つ柄に頼るのではなく、生地の質感やシルエット、 デザインで見せる服が増えてきた。 もちろん、これは私がホーチミンの中心部で見ている限りの印象です。 それでも、街の空気が変わったと感じるには十分でした。 ベトナムは世界有数の縫製大国。 その土台の上に、今、ベトナム発のブランドが次々と育っているようです。 海外でも知られるCONG TRI、ミニマルで構築的な服を見せるGIA STUDIOS、若い世代の感覚を映し出すFANCì CLUB。海外のランウエイやセレクトショップで名前を見かけるようになってきた。 そして、現在のホーチミンやハノイには、独自の世界観を打ち出す旗艦店やセレクトショップも増えています。 その変化を特に実感したのが、ホーチミン中心部、 Union Squareの地下に広がるセレクトショップ。 フロアには服だけでなく、靴、時計、バッグ、雑貨、香水まで、ファッション全般のアイテムが並ぶ。それぞれの売り場は独立しながら、緩やかにつながっている。目的を決めずに歩き回り、気になったものを手に取る楽しさがある。 無機質でモダンな空間に、低く静かに流れるミニマルなエレクトリック・サウンド。 「ここ、本当にベトナム?」 一瞬、そんな気分になる。 数年前には、こんな空間を想像していなかった。 買い物の仕組みも面白い。 気に入った服が決まると、店員からバーコードの付いたカードを渡され、レジで待つよう案内される。売り場に飾られているものは試着用で、在庫があれば倉庫から新しい商品が届く。 その商品を運んでくるのは、ヘルメットをかぶり、キックボードに乗った店員たち。 広いフロアを、商品を入れたバッグ持ってスーッと滑り込んでくる。歩かないですね。日本ならまず安全面が話題になりそうですが、バイクが日常に溶け込んだベトナムらしい軽やかさがあって親近感。 届いた服を手に取り、改めてサイズや縫製を確認してからお会計。明快です。 この店で、私が選んだのはベトナム発ブランドの二着。 一着は、MONO TALKの淡いグリーンのシャツ。 胸元を細やかな美しい襞で立体的に見せている。派手ではない。けれど、着ると柔らかな布が身体の周りで静かに動く。価格は約4800円。 もう一着は、DECEMBER CHRISの茶色いノースリーブトップス。 こちらは張りのある生地を使い、皺の寄せ方と裾のふくらみで立体感を作っている。 最近人気のバルーン型ですが、控えめに膨らませ、身体に沿って自然に立ち上がり、布量を計算していることが伝わってくる。価格は約8000円。 どちらも、「ベトナムにいるから着る服」ではない。日本へ帰るときにも持っていきたい、 普通におしゃれな着として着たい! そんな気持ちが動いて迷わず選んだもの。 この時私は、完全に日本のセレクトショップで買い物をしているような気分。 シルエットを眺め、生地に触れ、裏側の縫製を見る。 どう着ようかと考え、最後に値札を確認する。「え?」、一瞬、脳がバグる。 「あ、ここはベトナムだった」と、値段を見て思い出す。 もちろん、ベトナムでは決して誰にとっても安い価格ではない。それでも、日本で同じように生地や立体裁断に工夫を凝らした服を探す感覚で見ると、うれしい戸惑いが残る。 以前なら、気に入った形を見つけたら、生地を探して仕立て屋さんへ相談していたかもしれない。今は、そのまま着たいと思わせる既製服がある。そして服を買ったというより、ベトナムの変化を持ち帰った、という気持ちが湧き上がる。 仕立て屋さんで、自分の身体にぴったり合う一着を作る喜びと、 若いデザイナーが生み出した完成された服を、自分の感覚で選ぶ喜びがある。 どちらかが消えたのではない。服を楽しむための枠が、ひとつ増えた。 仕立てる国から、選ぶ国へ。 正確には、仕立てる楽しさを残したまま、選ぶ楽しさも育ってきた国へ。 ベトナムファッションは、まだ変化の途中段階。 このデザインと価格のバランスも、数年後には変わっているかもしれない。 そう思うと、また一着、手に取ってしまいそうにもなる。 ベトナムでの買い物は、ますます楽しい。 そして、これからどんな服が街に現れるのか。しばらく目が離せませんね。 – Next – 次回は、ベトナム料理本が楽しい! です。

2026/07/17

野本瑞穂のサイゴン雑記

ホーチミンのオフィス移転コストを劇的に下げる「最強の移転戦略」

ホーチミン オフィス移転 を検討する日系企業様向けに、賃料値上げリスクを回避しながらコストを抑える具体策を解説します。 ホーチミン オフィス移転 に関するご相談はCRAFTECへお気軽にどうぞ。 【2026年最新版】ホーチミンのオフィス賃料値上げにどう立ち向かう?移転コストを劇的に下げる「最強の移転戦略」 2026年第1四半期現在、ホーチミン市のオフィス移転マーケットは過熱状態が続いています。オフィス契約の更新時期を控え、貸主からの「賃料値上げ要請」に頭を悩ませている駐在員や企業担当者の方も多いのではないでしょうか。 本コラムでは、ベトナムで10年近くに渡り数々の日系オフィス賃貸仲介に携わってきたSTARTSベトナム代表の星氏が、最新のオフィス市場の動向を紐解きながら、値上げリスクを回避し、移転コストを早期に回収するための具体的戦略をわかりやすく解説します。 1. 「貸主優位」が続くホーチミンのオフィス市場 現在のホーチミン市のオフィス市場は、新規供給が増加しているにもかかわらず賃料が維持・上昇するメカニズムが働いており、「貸主優位市場」が継続しています。 その背景にあるのが、①根本的な供給不足と、②外資系(FDI)企業による旺盛な移転需要です。今回②に関して着目してお話をしますが、外資系PM会社のレポートによると、直近1年のオフィスの新規成約のうち実に82%をFDI企業が占め、移転企業の半数以上が「新しくて良いサービス」を求めてGrade A(最高級)ビルを選択しています。特に中国・台湾・韓国・シンガポールなどの企業は、オフィスを「採用競争力を高めるための経営投資」と捉え、戦略的かつ迅速に最高水準の環境を確保する動きを見せています。 一方で日系企業は、オフィスを「固定費」と捉えて既存ビルへの愛着や更新継続を好む傾向があり、他国籍企業のスピード感に取り残されかねない状況です。一部の築古物件ではライセンス更新ができず閉鎖に至るケース(Landmarkビルの事例など)も発生しており、安易な現状維持や築古物件への入居には慎重な判断が求められます。 2. テナントのジレンマ:更新時の「賃料10%値上げ」の衝撃 貸主優位の市場環境下において、既存テナントには更新のタイミングで「賃料10%値上げ」といった強気な要請が来るケースが多発しています。 「値上げを回避するためにコスト削減のために移転しよう」と考えるのが自然ですが、ここに大きな落とし穴があります。単純に「同じエリア・同じグレード」のまま別のビルへ引越しをした場合、内装費用、原状回復費用、引越代といった莫大な初期費用が重くのしかかり、トータルコストでメリットが出る(コストが逆転する)までに【10年以上先】になってしまうという過酷な現実があるのです。 3. ジレンマを打破する「3つのレバー」と最強コンボ この「更新か、移転か」というジレンマを打ち破るためには、移転戦略における「面積」「単価/グレード」「内装」という3つのレバーを操作する必要があります。 コスト削減を最優先とする場合、圧倒的に有効なのが以下の要素を組み合わせた「パターンF(最強コンボ)」です。 面積の最適化(縮小):一部在宅勤務などを絡め、本当に必要な面積へとオフィスを縮小させる。 単価/グレードの見直し:既存ビルよりも単価の安いグレードへ変更する。 内装付き物件の活用:新規でスケルトン状態から内装を手配するのではなく、床や壁などの内装が既に備わっている物件を選ぶ。 シミュレーションによれば、同等移転ではコスト回収に10年以上かかるのに対し、この「内装付・縮小・安価」を組み合わせた最強コンボを選択した場合、わずか【9ヶ月後】というスピードでコストメリット(Break-Even Point)を創出できます。移転のイニシャルコストを見落とさず、いかに内装費用や原状回復費用を抑えるかが早期のコスト逆転の鍵となります。 4. 企業がとるべきNEXTステップ 移転戦略を成功させるために、企業は以下の3つのステップを進めることが推奨されます。 1. スペースの最適化評価 (Agility Check):まずは従業員の働き方を見直し、本当に必要な面積(例えば25%削減の余地があるか等)を算出しましょう。無駄な動線がないか、キャビネットや倉庫スペース内の使い方も見直すと不要な面積が出てくるかもしれません。 2. サステナビリティ・品質要件の確認:単なるコスト削減だけでなく、採用や企業イメージに直結するESG対応などの要件を定義することが重要です。他のFDI企業が高級志向のビルを選択する中で、優秀な人材のつなぎとめ・新規採用にも、ビルのレベルが少なからず影響を及ぼすようになるはずです。 3. スピード重視の代替オプション探索:優良物件の動きが激しいため、内装付き物件や、コワーキングスペースやサテライトオフィスとしても使えるサービスオフィス(STARTSが運営する「COCORO」など)も含めて、早期に代替案を確保しましょう。 2027年までに契約更新を迎える企業様は、優良な選択肢が完全に埋まりきる前(12〜18か月前)からの早期情報収集を強くお勧めします。自社に最適なオフィス戦略を見直し、スマートなコスト削減を実現させましょう。 同様のオフィス内装施工事例やサービス詳細、無料相談はCRAFTECへ。 参考:ベトナム関連情報:JETRO

2026/07/15

オフィス関連

視点を変えれば発見がある 第6回:頭痛の種は「チップ」

【連載コラム】視点を変えれば発見がある ベトナムに住んでいるといろんな謎に遭遇します。しかし背景を知ると「そうなのか!」と納得することが少なくありません。ベトナム在住日本人のそんな体験を紹介するミニストーリー。コーヒーを片手に気軽にお読みください。   第6回:頭痛の種は「チップ」 「チップって本当に面倒くさいなあ。どうしてこんな習慣があるんだろう」 加納さんはチップが悩みのタネだった。ベトナムは基本的に「チップなし」の国だと言われる。しかしチップを支払う場面は少なくない。 例えば週末のゴルフ。キャディさんにはチップが必要だと先輩駐在員から教えられた。ゴルフの後のフットマッサージもチップを払う。その後、カラオケ屋さんに行くと、そこでもチップ。タクシーは、以前は「少額のお釣りはチップとして渡す」という習慣があったそうだ。最近は、配車はアプリ、支払いはキャッシュレスになったので「これでチップから解放される」と思ったら、アプリにも「チップを支払う」という機能がある。 チップを敵対視していた加納さんが、その考えを改めたのは、意外なことに日本に一時帰国したときのことだった。1年ぶりに会った家族とファミリーレストランへ。そこで5歳の娘が、食べ物の入ったお皿を落としてしまったのだ。すぐに店員さんがやって来て、床に散らばった食べ物を片付けてくれた。 「迷惑をかけたな。チップを払おう」 加納さんは反射的にそう考えたのだが、ここは日本。「これはお礼です」と言って小銭を渡しても、おそらく受け取ってはくれないだろう。そもそもいくらぐらい渡せばいいのか。その後も帰国中にはチップについて考える機会が多々あった。 大学時代の友人達と飲みに行くと、とても素敵な笑顔で対応してくれる店員さんと、仏頂面の店員さんがいる。前者の店員さんには、感謝の気持ちと「これからもその笑顔を絶やさずに頑張ってね」という応援の気持ちを伝えたくて、チップを渡したくなった。 そもそもチップというのは、「感謝の気持ちを言葉だけでなく、形でも伝えたい」というところから始まったのではないか。居酒屋の店員さんに「気持ちの良い接客でした。ありがとう」と言うだけでも、相手は喜ぶだろう。でも……。 以来、加納さんはチップに対する考えが肯定的になった。「チップはベトナム人が小銭稼ぎをする口実」だと思っていたのだが、「ベトナム人は気持ちを形にする人達」だと認識が変わったのだ。 それにともない払い方も変わった。例えば飲み会の幹事を頼まれたとき。予約をしたレストランに少し早めに着いて、担当の店員さんに「今日はよろしくね」と事前にチップを渡すのだ。お店のサービスが良かったら終了後にもチップ。 こまめにチップを渡すようになって、加納さんは、ベトナムの人達との距離が近くなったような気がしている。 *文中に出てくる社名・人名はすべて仮名です。

2026/07/13

中安昭人の連載コラム

サイゴン雑記 〜暮らしの断片を拾ってみたら〜 第2回:市場の流儀 ―ネギとパクチーの謎―

— Vol. 02 — 第2回:市場の流儀 ―ネギとパクチーの謎― 市場の流儀 ―ネギとパクチーの謎― Xin chào。街の拾いものを書き留める「サイゴン雑記」。 第2回は、ローカルの八百屋さんで買い物をすると、最後にポンっと袋へ入れてくれる"あの野菜"の話です。 ✦ ✦ ✦ 🎧 まずは、こちらの音を少し聴いてみてください。 #02 yaoya ※QRコードからもお聴きいただけます。 なんの音かわかりましたか? これは、いつもの八百屋屋さんでの会計風景です。 ガサゴソ。 品物をビニ袋に入れてくれる音。 「姉さん、8万ドンね〜」 そして間を置いて 「これいる?  hành lá ハイン ラー、 ハイン ラー!」 そう、店主が差し出したのは、ネギでした。 30代くらいの夫婦が営む小さなお店は商店街の一角にあります。早朝6時には開店。 お昼には棚がスカスカになるほどの人気店です。 にこやかで感じのいい夫婦とのやりとりは、片言のベトナム語を実践練習できる場でもあります。 でもここまでくるには、ちょっと時間がかかりました。   というのも、ローカルの市場、最初の頃は怖さを感じたこともしばしば。 市場の女性は強気です。 数字が聞き取れない。 少量だけ欲しいと言いにくい。 「それだけ?」みたいな顔をされることがある。 市場のおばちゃんの勢いに負けて、余計なものまで買ってしまうこともある。 とにかく押しがつよい。 ということで、市場へ行くには気合を入れつつ出かけるも、今日もダメだった〜と打ちひしがれて帰宅することも度々ありました。 でも、そんな時期を経て辿り着いたいきつけで、毎回、日本との違いを感じる点があります。それは、品物を袋に入れてくれ、最後にやってくる。 ネギとパクチーコンビです。 頼んでいないのにネギあるいはパクチー。 いや両方セットで、 ポン! と袋へ入れてくれる。 最初はオマケ? お釣りがわり? 計量しているので値段の微調整かなと思いました。 ただ、しばらく通っているうちに、なんだかそうではなさそう・・・とモヤモヤしてきた。 "なぜベトナムの八百屋さんは、最後にネギとパクチーを渡すのだろう?" あれこれ考えていたら、日本でいうとアレのこと? が見えてきました。 アレ、それは"お刺身についてくる、ツマや大葉のこと" 刺身が入ったトレーを見て "やった〜、大葉サービスしてくれた〜" とは思わない。 美味しく見える、食べるための一部であって、刺身の盛り合わせにはなくてはならない存在。 つまり、ベトナム料理にとって、ネギやパクチーは単なる野菜ではないのでは? スープにも。炒め物にも。麺にも。 最後に少し散らすのがお決まり手順。 これにて、料理が完成! そんな合図みたいなもの。 量は少ないけれども、これがなければ整わない、そんな存在。 ということで、最後にくれるネギとパクチーの最強コンビ。 あれはオマケではない。お釣りでもない。 ベトナム料理にとって、ないと落ち着かない定番の見守り野菜。 「今日もごはん、おいしく作ってね〜」という店主からの挨拶がわりかな、と思っています。 ▲ この日はこれで8万VND=480円くらい。ネギは普段の倍! 多めにくれました。 🧺サイゴン暮らしメモ:ローカル「行きつけ店」を見つけるコツ ✓ 早朝スタート、午後には閉まりそうな店(鮮度良好な品物を扱うため人気) ✓ 少量買いを歓迎してくれる、欲しい分だけゲットできる店(半分や4分の1など快く切ってくれるサービス) ✓ 漬物や蒸し野菜などがあるお店は工夫上手 ✓ 店主との相性(異性を選ぶと、あたりが優しいことも…) ✓ ニコニコ現金払いが基本、細かいお金、持っていこう! — Next — 次回は——オーダーメイドか既製服か、ベトナムファッションの変化について。

2026/06/13

野本瑞穂のサイゴン雑記

視点を変えれば発見がある 第5回:子守りをしてくれたカフェの店員さん

【連載コラム】視点を変えれば発見がある ベトナムに住んでいるといろんな謎に遭遇します。しかし背景を知ると「そうなのか!」と納得することが少なくありません。ベトナム在住日本人のそんな体験を紹介するミニストーリー。コーヒーを片手に気軽にお読みください。   第5回:子守りをしてくれたカフェの店員さん 「今度一度ダナンに遊びに来ないか?」 単身赴任中の夫からLINEが届いた時、織江は気が進まなかった。夫をダナンに送り出して半年。いわゆるワンオペで子育てをしてきた。 「私1人ならいいわよ。でもウチの子、まだ2歳よ。慣れない外国で小さい子供の面倒をみるなんて大変」 でも夫は引き下がらず「一度はこっちの様子を見てもらいたいし」「オレも子守りをするからさぁ」など、何度か懇願されてついにダナンにやって来た。 しかし男性のこの手の約束は、悪意なく反故にされると相場が決まっている。到着の翌朝、夫は「ごめん。今日は有休を申請していたんだけど、どうしても出社しないといけない用件ができてしまって」と会社へ。織江は娘と2人きりで、夫のコンドミニアムに取り残されてしまったのである。 「お昼は近所のカフェに食べに行こうかしら」 織江は深いため息をつくと、夫が教えてくれたカフェに向かう。徒歩数分の距離とは言え、娘を抱っこしていたので、カフェに着いた時はひと汗かいてしまった。 ドアを開けると、エアコンの冷気と共に「外は暑かったでしょう」と若い女性店員が、きれいな英語で迎え入れてくれた。織江を席に案内すると彼女がこんな提案をしてきた。 「お母さん、小さい子供がいると気が抜けなくて大変ですよね。今日はリラックスした気持ちで食事を楽しんで頂きたいので、私達に娘さんのお世話をさせてもらえませんか?」 迷いはあったが、織江は娘をみてもらうことにした。 ソファ風の椅子に座った娘のところには、3人ほどいる女性店員が入れ替わり立ち替わりやってきて、話しかけてくれる。普段は人見知りをする娘が、言葉が通じないにも関わらずケタケタ笑っているのには驚かされた。 ランチセットはスープとサラダ、主菜にご飯がついたなかなか本格的な内容だった。何より子供に手をとられることなく、料理を味わいながら食べられるのが嬉しい。こんな解放感を味わうのはいつ以来だろう。 普段は「周囲に迷惑をかけてはいけない」という思いから、子連れでの外出は必要最小限にとどめていた。でもこうして人の好意に甘えてしまうのも「あり」なのかもしれない。 食後のコーヒーを味わいながら、織江は店員に抱っこされて笑っている娘の姿をスマホで写真に収め、夫のLINEに送った。 「ダナンっていいところかも。私も来ていいかな」 *文中に出てくる社名・人名はすべて仮名です。

2026/06/11

中安昭人の連載コラム

サイゴン雑記 〜暮らしの断片を拾ってみたら〜 第1回 「はじめまして、頼りになるベトナムの台所!」

— Vol. 01 — 第1回:はじめまして、頼りになるベトナムの台所! はじめまして、頼りになるベトナムの台所! Xin chào。(シン・チャオ)。このコラムを担当するライターの MIZUHO です。 ベトナム・ホーチミンに暮らし始めて、5年ほど経ちました。 読んでくださっているあなたは、もしかして赴任したばかりでしょうか。 それとも、何年も過ごしてすっかり街に慣れてきた頃合いでしょうか。 私がホーチミンに腰を据えたのは、コロナ禍を経て活気ある街を取り戻す時期。何かと圧倒されていました。 ひっきりなしに走るバイク、市場のざわつき、昼の強い日差し、スコール前の湿った風。 でも今は、そのすべてが「生活のリズム」になっています。 知らないうちに、この街に体ごと馴染んできました。 このコラムは、そんな街の拾いものを書き留めた雑記帳です。どうぞお付き合いください。 ✦ ✦ ✦ 🎧 ベトナムといえば、まずはこちらを。QRコードから音声をお聴きください。 #01 ホーチミンの朝市の音 これ、なんの音かわかりましたか? ホーチミンにあるローカル市場の入口の音。朝5時すぎには、もう街が全力で動き始めています。 市場の近くに住む私にとって、最初はただの騒音でした。でも今では、このノイズを聞くと、大袈裟に言えば「ああ、今日も生きてるな」を実感させてくれる、おなじみのアラームです。 早朝から始まるカオスは、みるみる育ち、7時すぎにはピークを迎えます。飛び交う言葉、すり抜けるバイク、クラクション。交通ルールなんてあってないようなものの、一定の秩序は満たされている不思議な世界。ここに立つと、なぜか元気が湧いてくるんです。 そして市場の熱気を浴び続けていくと、だんだんお腹が空いてくる。ホーチミンは音だけじゃなく、胃袋まで騒がしくしてくれる街で—— ✦ ✦ ✦ お父さんとお母さん、家族で切り盛りしている小さな食堂。ランチに向けて仕込まれた料理が、昼前にはずらりと勢揃いします。 ▲ 昼前のお惣菜コーナー。選ぶのが楽しい。 店先には、アルミの大きなバットが並び、煮魚・炒め物・揚げ物・野菜料理がぎっしり。とにかくラインナップの多さに驚きます。しかも家庭料理の茶色系が多いので、美味しいに決まっている、という安心感が漂います。 ぜひ、のぞいてみて下さい。そこには見覚えのある料理もあるはず。 🍳 ゴーヤーと卵炒め 🥩 豚肉の角煮 煮卵入り 🍗 鶏肉の唐揚げ 🐟 イワシのトマト煮 🥢 ひき肉を挟んだ厚揚げ煮浸し 🫚 鶏レバーの生姜煮 日本の定食屋でも見かけるものですね。とはいえ、やや上級者向きの「謎の貝を炒めたもの」「カエル肉を煮こんだやつ」なども、定番ものとして並んでいたりします。そこはそこでスルーしたり、おつまみ用に少しだけ買ってみたりと自由な選択を。 そして、横には大きな炊飯ジャー。さらに隣には、毎日違うスープを作る寸胴鍋もあり、食欲をそそられます。 指差しひとつで、なんとかなる こうしたお店は、ランチに人がどっと押し寄せます。しかも、男性客が多い。バイクで駆けつけ「あれとあれ〜」と店主に伝えると、小さなテーブルに山盛りご飯とメイン料理、スープが届く。わしゃわしゃと豪快に口に放り込んでいく見事な食べっぷり。 でも女性も、もちろん利用してますからご安心を。私のようにテイクアウトを頼みに来るお母さんたちも多いので、ひとりで行っても問題なし。 ちなみに私は、夜ごはん用に追加で「あのおかずも」「これも」と、だいたい予定より多く買いがち。いろいろと食べることで、ベトナム家庭料理の味付けもわかりますからね……を言い訳に。 ✦ ✦ ✦ ✏ MIZUHO'S NOTE コムビンザン攻略メモ ▶ 便利なひと言 日本語 ベトナム語 読み方 これください Cho tôi cái này チョートイ カイナイ 持ち帰りで Mang về マン ヴェ おいしい! Ngon quá! ンゴン クア!(← これ言うと喜ばれます) ▶ 費用の目安(ホーチミン ローカル地域) ※都心部・観光地域だとレストラン並みの料金の場合あり おかず1品:30,000〜50,000 VND(約180〜300円) ごはん+箸休めの野菜料理と日替わりスープ付き テイクアウトは、おかずだけでも購入可。1品 30,000 VND〜、量を多めにしてくれます — Next — ローカル市場でお買い物するときの定番コンビ "ネギとパクチー" の存在感。 嬉しいおまけ?! これが意味するもの、について感じたことをお届けします。

2026/06/02

野本瑞穂のサイゴン雑記

1万3000チャットの業務会話を分析してわかるベトナムマネジメントのヒント

ベトナムの日本人マネージャーの多くは、「なぜ指示通りに動いてくれないのか」「なぜトラブルが起きてから報告があるのか」というコミュニケーションの深いギャップにたびたび直面します。 これらは、ベトナム人の能力や国民性といった言い方で片付けられていますが、問題の本質は「コンテクスト(コミュニケーションの言語化基準)の欠如」とチャットの「エスカレーション構造(情報の流動性)」のアンバランスによります。 本記事では、ベトナムにおけるコミュニケーション不全の構造的要因について、CRAFTECが実際に使用している複数のプロジェクトチャットログ13,000通を客観分析し、異文化の環境で「日系クオリティ(成果の担保)」と「現地の機動力」を両立させるチームコミュニケーションのあり方について紐解いていきます。 ベトナムの現場で「コミュニケーションロス」が多発する構造的背景 なぜ、日本的なマネジメント(いわゆる「背中を見て育てる」「良しなにやる」)はベトナムで機能しないのか。それには2つの明確な理由があります。 1. 「察する文化」が通用しないローコンテクスト環境 日本は世界で最もハイコンテクスト(前提の共有度が高く、言わなくても伝わりやすい)文化を持っています。「行間を読む」「空気を読む」という感覚すら、ビジネススキルに求められているほどです。一方、ベトナムのビジネスコミュニケーションでは、<具体的かつ明確な指示>を求める「ローコンテクスト」な性質が非常に強くなります。日本のドメスティックな感覚で、VNマネージャーへ「1」を伝えて「10」を期待すると、「1」はOKでも「2〜10」については勝手な解釈や誤解が生まれやすく、結果として深刻なアウトプットのズレを招いてしまいます。つまり、ベトナムにおける日本人マネージャーは、AIにプロンプト指示を出すのと同じ用にベトナム人に最初の指示を出して一つ一つ覚えさせていく能力が試されます。 2. 「心理的安全性」の欠如によるバッドニュースの隠蔽 ベトナムローカルでは、自らのミスやネガティブな情報を上司に報告することを躊躇します。「自分の評価が下がる」「厳しく叱責される」ことを強く警戒する傾向があります。組織内に「悪い報告ほど早く上げる」という安心感(心理的安全性)の基盤がない場合、トラブルは現場判断で隠蔽手直しされ、日本人マネージャーが知った時にはもはや理想的な進行を取り戻すことが「手遅れ」の状況になってしまうことも多くあります。こうした文化的な前提の違いを知らずに日本からの物差しをそのまま当たり前として適用しようとすると、お互いが疲弊してしまいます。   ローカルスタッフを機能させる「コミュニケーションの黄金比」 CRAFTECの場合、この構造的なリスクを排除し、プロジェクトを確実にコントロールするために組織のチャットログ(DMや特定の部署だけのチャットルームを除き、またノイズも除外したチーム内業務連絡)を分析すると、13,000回以上交わされた社内のチャットコミュニケーションの量と質には、ある法則性があることに気づきました。 「クイックレスポンス」と「リアルタイムの可視化」が不確実性を消す CRAFTECの場合、実際のコミュニケーションでの発言内訳は、以下で構成されていました。 軽回答・承認・挨拶:32% 行動予定と進捗報告:26% 提出物の共有:16% 指示・フィードバック・リマインド:11% 質問・確認・相談:10% トラブル・不具合報告・対応協議:5% 特筆すべきは、全体の3割以上(32%)を占める「軽回答・承認・挨拶」の多さです。これは一見、生産性のない定型的なメッセージに見えますが、ベトナムでは心理的障壁を下げるための「接触頻度の確保」と「即時レスポンス」の文化をチームとして定着できている証拠と考えます。 この発言しやすい土壌があってこそ、全体の26%である「行動予定と進捗報告」が、現場からリアルタイムな工事レポートがに自発的に上がってくる仕組みが実現できているのだと思います。 ベトナムでは「ピラミッド型トップダウン」が正解となることが多い理由 現代のマネジメント論ではダイバーシティのコードを基底とした「フラットな組織」・「自律型ボトムアップ」が多く推奨されるようになっています。一方で、こと納期と品質の厳守が求められるベトナムにおける組織業務においては、「明確な役割分担によるピラミッド型トップダウン体制」が効果的なリスクヘッジとなります。 さらにCRAFTECのチャットコミュニケーションの分析例をみていきましょう。 役割別の発言比率と役割分担の構造 行動予定と進捗報告(現場の可視化):VNローカルスタッフ 80%。現場のファクト情報をリアルタイムに上げる「ボトムアップ情報源」として徹底機能。 提出物・成果物の共有(進捗管理):VNマネージャー40%、一般VNスタッフ50%が大半。実務調整を担う「ブリッジ役」として、現場の職人と日本人PMを繋ぐ。 質問・確認・相談:一般VNスタッフ(40%)からローカルマネージャー(40%)へ上がり、課題整理された段階で日本人PMへ上申(20%)。 指示・フィードバック・リマインド(品質統制):ここで日本人PMが60%のシェアを占める指示が下に向けて向けられる。 トップダウンを「独裁」でなく「安全網」として機能させる このデータが示すフロー構造と占有比率は、「現場に勝手な判断をさせない防衛策」となります。一般VNスタッフが全体の80%となる進捗報告ボリュームを担い、現場を可視化。そこから上がってきた成果や相談に対し、VNマネージャーのフィルターを通し日本人PMが60%の高比率で「指示・フィードバック」を繰り返し、中央集権的に品質とサービスの質を統制していきます。 このように、曖昧さを排除する「ホウレンソウ」の仕組みと、Due timeの厳格な管理が双方向のチャットコミュニケーションで回ることで、日本人のトップダウンがプロジェクト全体の安全網として機能しやすくなってきます。 今回分析したチャットデータは、ベトナムでオフィス内装工事業をしているCRAFTECの実際のチャットコミュニケーションの検証と検証です。ここまで述べた「 ベトナムでのマネジメント課題」をチャットコミュニケーションのシステムに落とし込んだ結果となります。現場のローカルスタッフによる迅速な現状報告、日本人PMによる顧客視点に立った判断をチャットコミュニケーション上で高速融合させ、ベトナムで頻発するトラブルを構造的に防ごうとしています。 まとめ:仕組みが文化の壁を越える ベトナムで組織マネジメントを成功させる鍵は、VNスタッフの「意識改革」を待つことではありません。「エラーの起きないコミュニケーションの構造設計」を導入し、初期に正しいプロンプトを教育することです。   CRAFTECは、ベトナム全土(ホーチミン、ハノイ、ダナンなど)で日系企業のオフィスプロジェクトを支えています。進出、移転、現場マネジメントに関する疑問や課題をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。 同様のオフィス内装施工事例やサービス詳細、無料相談はCRAFTECへ。 ベトナム情報参考:JETRO ベトナム情報

2026/05/25

ベトナム関連

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ベトナムで今すぐできる AI を使った オフィス 業務改善 5選【2026年版】

AI を活用した オフィス業務 改善の具体的な方法を5つご紹介します。 AI による オフィス業務 の効率化は、ベトナム法人でも今すぐ始められます。 「AIを使えば業務が楽になると聞くが、どこから手をつければいいかわからない」 ホーチミンやハノイで日系企業のマネージャーを務める方から、こうした声を頻繁に伺います。 AIはすでに「将来の技術」ではなく、ゼロコスト〜低コストで始められる実用的なツールです。ベトナム法人ならではの課題(日越バイリンガル対応・現地法規の複雑さ・少人数体制)に直結するかたちで、バックオフィス業務に即効性のあるおすすめのAI活用法を5つご紹介します。 目次 NotebookLMで社内規定・行事チャットボットを作る ベトナム法規・労働法の専用AIチャットボット構築 Gmail × Google AI Studio連携で受信箱を自動処理 Gemini × ExcelとWordでルーティン文書を一気に自動化 Google Meet AI要約で議事録・翻訳を自動生成 なぜ今、ベトナムオフィスでAI活用が急務なのか ベトナムは2025〜2026年にかけてスマートフォン普及率が急上昇し、Google Workspaceの法人利用が東南アジアで最も高い伸び率を示しています。一方で日系ベトナム法人の多くは5〜20名規模の少人数オペレーションであり、1人が複数ロールをこなしています。AIをオフィス業務に組み込むことで、「人手不足×多言語×法規複雑性」の三重苦を解消できます。 1. NotebookLMで社内用チャットボットを作る 課題:「あの規定、どこに書いてあったっけ?」を繰り返していませんか? 就業規則・経費精算規定・休暇申請フロー・社内行事カレンダー——こうした情報は社内ドライブのどこかに眠っていても、新入社員やベトナム人スタッフがアクセスしづらいのが現実です。毎回マネージャーに聞く文化が定着すると、1日に数十分の「答えるコスト」が積み重なります。 AIによる解決策:NotebookLM社内ナレッジベース Google NotebookLM(無料で利用可能)は、PDFやGoogleドキュメントをアップロードするだけで、その内容に特化したAIチャットボットが完成します。 セットアップ手順(所要時間:約30分) notebooklm.google.com にGoogleアカウントでログイン 「新しいノートブック」を作成し、社内規定PDF・就業規則・行事カレンダーなどをアップロード 「ノートブックガイド」機能でFAQ形式の概要を自動生成 「共有リンク」を発行し、全社員に配布 社員が「有給休暇は何日取れますか?」「出張精算の上限は?」と質問すれば、アップロードした社内文書に基づいた正確な回答が即座に返ってきます。 ベトナム法人特有のメリット ベトナム語・日本語・英語の文書を混在させてもAIが自動で言語を識別して回答 ローカルスタッフの「日本人上司に聞きにくい」心理的障壁を除去 規定改訂時はファイルを差し替えるだけで最新情報にアップデート このオフィス業務改善だけで、社員からの問い合わせ対応時間を削減し、正確な情報共有がなされます。 2. ベトナム法規・労働法のAIチャットボット構築 課題:ベトナムの法規は改訂が多く、追跡コストが高い ベトナムの労働法・社会保険法・外国人就労規制は年に複数回改訂されます。日本人マネージャーが最新情報をキャッチアップしながらオペレーションを回すのは現実的ではありません。 AIによる解決策:法規専用NotebookLM 登録推奨ドキュメント:ベトナム労働法PDF、Work Permit関連通達、社会保険料率表、個人所得税(PIT)税率早見表、投資ライセンス条件 これらをNotebookLMに読み込ませれば、「現地採用の試用期間は最長何日か」「外国人マネージャーのワークパーミット更新条件は」といった実務的な質問に数秒で回答が得られます。 重要:AIの回答はあくまで一次情報の確認・論点整理に使用し、最終判断は現地弁護士・税理士等の専門家に確認する運用を徹底してください。 3. Gmail × Google AI Studio連携で受信箱を自動処理 課題:日越英の三言語メールが毎日数十通届く ホーチミン法人の日本人マネージャーの多くが、1日1〜2時間メールの処理に費やしていると言われています。 AIによる解決策:Google AI Studio × Gmail Apps Script 自動化内容 効果 受信メールの3行サマリー自動生成 開封前に内容把握、優先度判断 ベトナム語メールの日本語自動翻訳+下書き 返信時間を70%短縮 問い合わせカテゴリの自動タグ付け 担当者への振り分けを自動化 定型返信の下書き自動生成 承認→送信の2ステップに簡略化 Google AI StudioのGemini 1.5 Flashモデルは月間数百万トークンを無料枠で利用可能です。追加費用ゼロでこのオフィス業務改善を実現できます。 4. Gemini × ExcelとWordでルーティン文書を一気に自動化 課題:毎月繰り返す「Excel集計」「報告書作成」の非効率 月次の売上集計、本社向け活動報告書——こうしたルーティンのオフィス業務こそ、AIが最も力を発揮する領域です。 Google Workspace Gemini(Spreadsheet/Docs統合) 売上データを貼り付けて「月次トレンドのサマリーを作って」と指示すれば経営報告用の文章を自動生成 ベトナム語の仕入先見積表を日本語に変換しながら集計 過去の報告書を読み込ませ「今月版を作って。数字だけ変更してほしい」と指示 Microsoft 365 Copilot(Excel/Word統合AI) Excelで複数シートをまたぐ集計を自然言語で指示 Wordで前月報告書から差分だけ書き換えた新版を自動生成 5. Google Meet AI要約で議事録・翻訳を自動生成 課題:日本語とベトナム語が飛び交う会議、誰が議事録を書くのか 会議後の議事録作成・翻訳・共有に1〜2時間かかるケースも珍しくありません。 AIによる解決策:Google Meet × Gemini自動要約 リアルタイム文字起こし:日本語・ベトナム語・英語を自動識別して字幕表示 会議後の自動要約:決定事項・アクションアイテム・担当者を自動抽出してメール送信 録画+文字起こしのセット保存:Driveに自動保存 業務 従来 AI導入後 60分会議の議事録作成 45〜60分 5〜10分(確認のみ) ベトナム語→日本語翻訳 30〜60分 自動(即時) アクションアイテムの整理 15〜20分 自動(即時) 週3回の会議がある組織であれば、月間で10〜15時間のオフィス業務削減が見込めます。 まとめ:ベトナムオフィスのAI活用、最初の一歩 # ツール 主な効果 コスト 1 NotebookLM(社内規定版) 問い合わせ対応を自動化 無料 2 NotebookLM(法規版) 法規確認コスト削減 無料〜 3 Gmail × Google AI Studio メール処理時間を70%削減 無料〜 4 Gemini / Copilot × Excel・Word 月次集計・報告書を自動化 Workspace料金内 5 Google Meet Gemini 議事録・翻訳を完全自動化 Workspace料金内〜 AIは「大企業のもの」ではありません。5〜20名規模のベトナム法人こそAIによるオフィス業務改善のスピーディーな恩恵を受けやすい組織だと言えます。 この記事は2026年5月時点の情報をもとに作成しています。各ツールの仕様・料金は変更される場合があります。 ベトナムのオフィスづくりについては施工事例やサービス詳細、無料相談もあわせてご覧ください。 ベトナム関連参考情報:JETRO ベトナム情報

2026/05/21

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ベトナムオフィスの騒音対策 |音のマスキングに BGM効果を導入しよう

ベトナムの オフィス で働いていると、日本で経験しなかった「音の問題」に直面する機会が多くあります。 ベトナムオフィスのこの悩みを解消できる方法が「BGM効果」 の導入です。 路上を走るバイクのエンジン音、近隣の工事騒音、フロアで飛び交うベトナム語会話・・・。日本のオフィスと比べ、ベトナムでは内外部の騒音が集中を妨げるシーンが日常的に起こりやすい環境にあります。 単なる雰囲気づくりではありません。BGMには「音のマスキング効果」という科学的な根拠があります。本記事では、オフィス BGM 音のマスキング効果の仕組みと、今すぐに実践できる活用法を解説します。   「音のマスキング効果」とは何か? マスキング効果とは、ある音が別の音を聞こえにくくする現象のことです。 例えば川辺に立つと、周囲の雑音が気にならなくなる——そのメカニズムと同じです。一定の背景音が流れていると、脳はそれを「基準値」と認識し、突発的な騒音や会話音は「例外」として処理しにくくなります。結果として、雑音が相対的に目立たなくなるのです。 米コーネル大学の研究では、約65〜70dB程度の環境音(落ち着いたカフェの騒音レベル)の中では、創造的思考と集中力が向上することが示されています。完全な無音よりも、適度な背景音がある方が人間の脳は集中しやすい状態になります。これがカフェで仕事が捗る理由の正体です。オフィスにBGMを流すことは、擬似的に「カフェ効果」を作り出す行為といえます。   ベトナムのオフィスでBGMが特に有効な3つの理由 ① オープンオフィス文化による会話の丸聞こえ ベトナムの日系企業オフィスは、部門ごとに個室が分かれているオフィスレイアウトより、フロアをオープンにつかったレイアウトプランが主流です。オープンレイアウトはチームのコミュニケーションが取りやすい反面、周囲の会話や電話を使った会話が集中を妨げる問題が起きやすくなっています。 ② 都市部の外部騒音レベルの高さ バイクの交通量、建設工事、市場の喧騒・・・ベトナムの都市部は、日本では考えられないレベルの低周波の振動や、断続的な打撃音が日常的に発生し仕事の集中を乱しがちです。 ③ 多言語環境による「意味のある音」の干渉 人間の脳は、意味のある言語を無意識に処理しようとします。周囲でベトナム語の会話が聞こえると、意味は分からなくても「何か言っている」という認識が雑音として脳に引っかかります。BGMはこの「言語干渉」を和らげる緩衝材になります。   集中力を高めるBGMの選び方 すべての音楽が集中を助けるわけではありません。ここでは音のマスキング効果を最大化させる選曲にポイントを絞ってみましょう。 種類 効果 おすすめ理由 Lo-fi hip hop ◎ 歌詞なし・一定リズム。作業用BGMとして世界的に人気 自然音(雨・川・森) ◎ マスキング効果が最も高く、ホワイトノイズに近い特性。 クラシック(バッハ・モーツァルト) ◯ 集中促進効果。単調な事務作業に特に向く 歌詞のある曲(J-pop等) ✕ 言語処理が働き、思考を妨げてしまう可能性が高い テンポの速い曲(EDM等) ✕ 覚醒度が高すぎ、精密な思考作業には不向き 音量の目安は45〜65dB程度(図書館〜落ち着いたカフェの音量レベル)。大きすぎると逆効果です。スマートフォンの無料騒音計アプリで簡単に測定できます。スピーカー数が多ければ空間全体で音量のバラツキを整えやすくなります。数量が少ない場合には、一箇所からの音量だけが強調されてしまい、オフィスの座席位置によって聞こえ方に大きな違いが出てしまうので注意が必要です。   今すぐ始めるBGMの導入:実践3ステップ ステップ1:スピーカーを選ぶ 100〜200USD前後のBluetoothスピーカー1〜2台で十分な効果が得られます。オフィスの広さに合わせ、天井近くに設置するか、デスク上に複数台分散させるのが効果的です。特定の席だけ音量が大きくなりすぎないよう、均一に拡散させることがポイント。 ステップ2:配信サービスを活用する SpotifyやYouTube Musicには「作業用BGM」「Lo-fi」「自然音」などのプレイリストが無料または低コストで使えます。「Coffee Shop Sounds」「Rain Sounds for Focus」などのプレイリストは、音のマスキング効果に最適化された選曲です。Spotifyのオフィス向けプランであれば、著作権的にも安心です。 ステップ3:チームに少しずつ慣れてもらう 突然BGMを流し始めると、慣れていないスタッフが違和感を覚えることがあります。例えば最初は昼休み明けの午後の時間帯だけ試験的に導入し、スタッフの意見を聞きながら音量や選曲を調整していくのがスムーズな導入方法です。ベトナム人スタッフにとっても音楽のあるオフィスは親しみやすく、「おしゃれな職場」として好印象を持たれる傾向にあります。   音響設計との相乗効果:BGMをさらに活かすオフィス環境 BGMは手軽な対策ですが、根本的な音の問題にはオフィスの内装・空間設計が大きく関わります。 天井や壁に吸音パネルを取り入れることで、BGMの効果がさらに高まります。フローリングよりもラグや絨毯の方が低周波を吸収し、観葉植物を置くことも間接的な吸音効果を高めます。個人集中エリアをガラスパーテーションで緩やかに仕切るだけで、オープンオフィスの音の通り道を大幅に変えることができます。 BGMは「応急処置」として非常に有効ですが、設計段階から音の動線を考慮したオフィスづくりも執務環境に高い効果をもたらします。 CRAFTECでは、ベトナムの日系企業向けに、吸音設計・レイアウト・素材選定を含むオフィス内装の設計施工を一括で提供しています。「うるさいオフィス」「集中できない職場」を未然に設計段階から防いでいくのはいかがでしょうか。   まとめ ベトナムのオフィス環境でBGMを活用することには、科学的に裏付けられた「音のマスキング効果」があります。 BGMは突発的な騒音や会話を「相対的に目立たなくさせる」 交通騒音・日常騒音・会話の騒音に特に有効 Lo-fi・自然音・クラシックがBGMの集中効果として最適 音量の目安は45〜65dB。スマホアプリで簡単に測定可能 吸音材と組み合わせることで効果を最大化できる 今日からできる最初のアクションは、SpotifyやYouTubeで「Lo-fi hip hop」などをBluetoothスピーカーで流してみることです。チームの集中力の変化を、ぜひテストしてみてください。   CRAFTECによるオフィス音響設計・内装改善サポート オープンオフィスの騒音問題、集中できないレイアウト——。BGMだけでは解決できない根本的な音環境の改善は、内装設計から変えることが最も効果的です。CRAFTECでは、ホーチミン・ハノイの日系企業向けに吸音設計を含んだオフィスリノベーションをご提供しています。 📩 お問い合わせ:https://craftec.vn/contact/ (※本記事の情報は2026年時点のもので、引用データは参考情報であり、効果には個人差があります。:CRAFTEC編集部)

2026/05/17

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視点を変えれば発見がある 第4回:それは本当に「ボッタクリ」ですか?

【連載コラム】視点を変えれば発見がある ベトナムに住んでいるといろんな謎に遭遇します。しかし背景を知ると「そうなのか!」と納得することが少なくありません。ベトナム在住日本人のそんな体験を紹介するミニストーリー。コーヒーを片手に気軽にお読みください。   それは本当に「ボッタクリ」ですか?  「またボッタクられました!」  新米駐在員が憤懣やる方ないという感じで話しかけてきた。それを聞きながら江頭努さんは、30年前、ベトナムを初めて訪れたときのことを思い出していた。  旅人だった江頭さんは、ベンタン市場でお土産用にTシャツを買おうとしたところ、相場よりもかなり高く売りつけられそうになったのだ。店の主人である中年男性に抗議をした。 「どうして人によって値段が変わるんですか。日本では商品には定価を表示したタグがついているので、値段交渉は不要で、誰でも同じ値段で安心して買い物ができます」  なかなか流暢な英語を話す主人は顔色一つ変えずこう返答してきた。 「ほう、そうかい。日本では自分の親友にも、見ず知らずの他人にも、同じ値段で売るのかね。変な国だねえ」  江頭さんは言葉に詰まってしまった。その後、40か国ほどを旅する中でこの言葉を何度も思いすことになる。日本のように定価がある国のほうが少数派だったのだ。  初訪越から約10年後、ベトナムに駐在員としてやってきた時は、たどたどしいベトナム語でお店の人と話をするように努めた。するとどうだろう、仲良くなるにつれて値段が下がるではないか。  バイクタクシーを利用したところ、目的地に着いた運転手が「お前は外国人なのにベトナム語を話すいい奴だから」と代金を受け取ってくれなかったこともある。  ベトナム人に尋ねても「値段交渉は面倒くさい」という。しかし「人間関係に応じて値段が変化する」のには一理ある。江頭さんはそう思うのだ。新米君に自分の体験を紹介した江頭さんは、こう結んだ。 「値段を尋ねた時には10万ドンと言っていたのに、いざ払う段階になって10ドルだと言い出したら、ボッタクリだよね。でも人によって値段が異なるのは、違うんじゃないかな。ベトナムでは親しくなればなるほど値段は安くなるんだよ」 *文中に出てくる社名・人名はすべて仮名です。

2026/05/12

中安昭人の連載コラム

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