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AI時代、経営者が選ぶべき「勝てるオフィス」とは? (2/3) AIが変えるのは「ソフト」だけではない AIの普及は、オフィスのハードウェアにも変化をもたらします。 書類量、デスク配置、会議室のあり方まで、すべてがAIの普及と密接に関わり、それに合わせてオフィスも最適化されていきます。 今回は、AIの普及によって具体的にベトナムのオフィスがどのように変わっていくのか、動向予測をします。 書類収納スペースが「交流スペース」にベトナムでも変わるのか? まず、一般的に起こるオフィスの変化は紙の書類の激減です。 AI-OCR技術の進化により、手書き文字も含めた書類のデータ化が進みます。 経理の請求書処理や契約書管理などがデジタル化されることで、オフィスから巨大なキャビネットが姿を消します。ですが、これは主に他国での話で、ベトナムでは当面は例外となるでしょう。 一方、経済発展が続くベトナムにおいては、労働者がよりよい待遇と労働環境を求めてジョブポッピングする流れが当面続きます。そうした流れの中、社員流失の歯止め、エンゲージメント醸成の場として、オフィスを魅力的にアップデートしていく流れが強まっていきます。ベトナムでも、社員同士のコミュニケーションを促す「ラウンジ」「カフェスペース」快適な「チェア」、従来以上のオフィス像が売り手市場の労働者に対し求められてきます。かつて書類保管や備品倉庫のために費やしていたスペース賃料を、エンゲージメントを深める場への投資に転換していく流れが他国ではありますが、ベトナムでは今後、異なる独自の展開を見せ始めています。 「会議」の概念が変わり、会議室が減る 書類のストックスペースの観点からすると、ベトナムでは書類保管義務から、劇的な進展は当面起こりません。そこで次に着目するのが「会議室」です。 これまで、情報共有に多くの時間が割かれていましたが、AIの台頭により会議は従来型の「情報共有の場」から「意思決定とアイデア出しの場」へ徐々に変化していきます。 その結果、大きな会議室は一部の大企業以外は、古い働き方の象徴的存在として、徐々にプレゼンスが低下していくことが予想されます。 代わりに求められるのは、少人数ですぐに集まれる簡易的な打ち合わせスペース、マルチな機能を果たせるテーブル、オンラインブースです。 これらは、従来型の会議室の床面積を60%近く削減でき、コストを抑えた上で会議の質的変化に柔軟に対応でき、上昇するベトナム都市部のオフィス賃料に対する特効薬となりつつあります。スペースの新たな充実を図るオフィス内の質的変化の流れは、コロナ禍を経た後のAI台頭によりベトナムで独自の変化をし始めており、非常に興味深い動きと言えるでしょう。 AIがレイアウトを「自動生成」する時代 さらに先進的な動向として、オフィスレイアウトをAIが最適化する未来がすぐに来ることも予想されます。 従業員数や部署構成、出社率などのデータを入力すれば、AIが最適な席配置や動線計画を自動生成します。 「このエリアはあまり使われていないから、ミーティングブースに変えよう」といった提案もAIが行うようになるでしょう。 日本国内では、時間帯や業務内容に合わせてAIが照明や空調を制御し、空間を動的に変化させる「適応型オフィス」の導入も進んでいます。 ベトナムにおいては、ここまでの流れはまだ時期尚早ですが、無駄なスペースを削減し、コストパフォーマンスを最大化するリノベーションの例が着実に増えてきました。 可変性とデータ活用が鍵になっていく ここで重要なことは、AI時代のオフィスとは、一度作ったら終わりの「固定の箱」ではなく、 行動データに基づきアップデートし続ける「可変的な空間」としてのオフィスが増えてくることです。 セールスの固定席を廃止し、部分的なフリーアドレス化やABW(Activity Based Working)を導入することも、その第一歩で、最新の働き方に見合ったオフィスの組み替えという柔軟な発想がさらに経営者に求められくるでしょう。 オフィスのエンゲージメント醸成の取り組みは、日頃からオフィス内装業者へ相談し、近い将来のオフィス改修計画のために意見交換を始めている経営者は確実に増えています。 次回は、ここベトナムという地で、日本人経営者がどのようにAIとオフィスを活用して組織を強くしていくべきか、マネジメントの視点から解説します。
2026/01/31
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AI時代、経営者が選ぶべき「勝てるオフィス」とは? 第1回:AIと共存する経営戦略とオフィスの「意味」 AIの急速な進化により、オフィスの役割は「作業場」から「創造の場」へと激変しています。ベトナム在住の経営マネジメント層に向けた、AI時代の新しい働き方と、経営戦略としてのオフィスづくりの動向をレポートします。 なぜ今、オフィスの「再定義」が必要か 近年、日本国内だけでなく世界中で「働き方改革」と「AI活用」が同時進行で加速しています。 特に生成AIの登場は、私たちがこれまで当たり前だと思っていた「仕事」の定義を根底から覆しつつあります。 かつてのオフィスは、情報を集め、書類を作成し、管理する「作業場」でした。 しかし、単純作業やデータ処理をAIが担うようになってきた今、人がオフィスに集まる意味は何かが問われています。 ベトナムで経営の舵を取るビジネスパーソンも、将来のベトナムの急速な労働人口減少や労動意識の変化を肌で感じ始めているのではないでしょうか。 ベトナムにおける将来の労動生産人口の減少がわかっている中、AIを活用した労動生産性の向上は避けて通れない経営課題となります。この AI時代において、オフィスは単なる「低コストな箱」ではなく、企業の競争力を左右していく「投資の場所」へ変化していくことが予測されます。 本連載(全3回)では、AIと共存する未来のオフィス像を、オフィス構築の視点から紐解きます。 AIが担う「作業」と人間が担う「創造」の分離 先に結論を申し上げますと、周知のようにこれからのオフィスワークは「AIに任せる仕事」と「人が行う仕事」に明確に分かれていきます。 具体的には、データ入力、集計、議事録作成といった定型業務は、AIによってすでにその多くが自動化されています。 会議議事録の作成やメールの返信案の作成は、すでにAIが補佐しております。その結果、社員に求められるものは「意思決定」や「創造性」、「感情を伴うコミュニケーション」へよりシフトしていきます。 AIが論理的な正解や高度な推論を瞬時に出す一方、人間は「なぜそれを選ぶのか」という「文脈」を判断する必要性が高まってきます。 つまり、オフィスは効率的に作業をこなす「作業場」の域を超え、「文脈」を判断する者同士が対話し、イノベーションを生み出す「共創」の場へ徐々にシフトしていくことがベトナムでも予想されます。 「行きたくなる場所」でエンゲージメントを向上させる AIが普及し、リモートワークが可能になればなるほど、逆説的にリアルで魅力的な「フィジカル・オフィス」の付加価値は高まっていきます。 その気になれば<どこでも働けてしまう時代>だからこそ、<わざわざ出社したくなるオフィス>を提供する。 特にベトナムのような人材流動性の高い市場においては、魅力的なオフィス環境の提供は、優秀な人材を惹きつけ定着させる「強力な装置」となり得ます。快適なチェア、照明、清浄な空気、BGM、リフレッシュスペース、香り、コーヒーマシーン、スナックコーナー、社員の写真を飾る場所など、五感に訴えるオフィス環境づくりの整備が社員を 「ここで働きたい」と思わせ、今後のAI時代で勝ち残るための経営資源になっていく傾向が増していくでしょう。 [caption id="attachment_566" align="alignleft" width="1200"] RAKUSベトナム様のセカンド・オフィス。リフレッシュエリアにホテルラウンジのラグジュアリーを演出、エンジゲージメントとブランディングを意図的に融合させる試験の場に。[/caption] [caption id="attachment_753" align="alignnone" width="1200"] CRAFTEC新オフィス。執務チェアにUCHIDA社のAJ2とITOKI社のACTの日系チェアを採用。室内に環境音楽が流れ、人間の体内時計に合ったサーカディアン照明を採用。エアバスと同じフィルター性能の空気清浄機を導入し、ベトナム人社員がより働きやすいオフィス環境を自分たちで実験しています。[/caption] オフィスは「企業文化」を醸成する装置としての役割が強まっていく AI時代のオフィスは「企業カルチャーを醸成する装置」へ進化しはじめています。 AIで業務を効率化して生まれた余白の時間を、オフィス内の社員同士の対話やチームコミュニケーションに充てること。 そのための装置としてのオフィスをアップデートしていくことが、これからのオフィスに求められてくることが予想されます。 次回は、具体的にオフィスのレイアウトや機能がどう変わっていくのか、詳細な予測をお伝えします。
2026/01/20
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オフィス賃貸契約の更新解約トラブル集 日本とベトナムでは商習慣が大きく異なるため、こちらが無知であるほどトラブルのリスクは増大します。今回は、ベトナムで実際にあったオフィスの賃貸契約の更新時と解約時のトラブル事例をご紹介します。 事例1:更新拒否で退去を余儀なくされた 「まだ2年目なのに。出て行けと言われたら?」 念願のオフィスを開設して2年。内装にもこだわり、社員も増えてきてようやく事業が軌道に乗り始めた!そんな矢先・・・。契約満了が近づき、当然のように更新を申し出た。日本では自動更新が一般的だから、「このまま使い続けられるだろう」と思い込んでいた。 しかし、オーナーからの答えは。 「更新? できません。このビルは今後自社で使いますから。」 耳を疑った。 内装の減価償却がまだ終わっていない。引っ越しや新オフィスの内装にかかる追加コストを考えると、頭が真っ白に。 せめて移転費用や内装費用の一部を負担してもらえないかと交渉してみたが、 「デポジット(保証金)を返す以外は契約通りです。補償??契約書読んでください。補償の義務はありません。」 日本なら借主に有利な慣習があり、追い出されるケースはほぼない。 だがベトナムでは、オーナーの一存で契約更新の拒否が珍しくないことです。 こうして、事業の安定期に突然の移転を強いられることになる場合もありますので注意しましょう。 なぜ起きる?(背景解説) 貸主優位の商慣習:ベトナムでは契約更新は保証されず「自動更新」は基本的に存在しない。 オーナー都合の変更:所有者が「自社利用に切り替える」「売却する」と決めれば、借主は退去せざるを得ない。 グレードの低いビルほどリスク大:所有者の事情で急な方向転換が起こりやすい。 📌 ここがポイント(教訓) 「更新できる前提」で契約しない。 契約更新不可のリスクを前提に、移転コストを事業計画に織り込む。 日本の感覚で「居続けられるはず」と思い込まない。 契約書に自動更新条項を入れる交渉は難しいため、オーナー都合での退去も想定する。 📝 事前対策リスト 契約更新に関する条文を必ず確認(「更新できる」とは限らない)。 内装投資額は短期間で回収できる設計に。 物件選びの際は「所有者の事業方針」「売却の可能性」も調査。 長期利用が絶対条件なら、グレードの高い物件や信頼性あるオーナーを優先。 事例2:ベトナム語の契約書を読まずサインしてしまった・・・ 「サインしてしまった一枚の契約書が命取りに」 契約の場に出された厚い契約書。すべてベトナム語で書かれていました。 「英語版もありますよ。ただ、公式文書としてはベトナム語が優先です」と伝えられた。 時間も迫っているし、迷いつつも、エージェントの「大丈夫ですよ」という一言で、 細かい条文を読み込む余裕もなく、内容を正確に理解しないままサイン完了。 それから1年後・・・・。 事業が拡大し、広いオフィスに移転する必要が出た。 ところが解約を申し出た瞬間、オーナーはこう言った。 「途中解約??そんなの認めませんよ。そちらの都合で出て行くなら、保証金は没収し、残りの契約満了月までの賃料も全額支払ってもらいます。」 驚いて契約書を読み返すと・・・確かにその条文が! 目を凝らせば、途中解約時の違約金は「残り契約期間の賃料全額」と明記されていたのだ。 「嗚呼、もっと早く確認しておけば…」 サインした一枚の契約書が、会社の資金繰りを大きく揺るがす結果となった。 なぜ起きる?(背景解説) ベトナム語優先条項:契約書が多言語併記でも、最終的にベトナム語版が法的効力を持つケースが一般的。 途中解約は原則不可:ベトナムでは、借主側からの途中解約は基本的に認められない。 強気な貸主の解釈:保証金没収は当然、さらに「残存期間の賃料請求」まで発生するケースが多い。 📌 ここがポイント(教訓) 契約書は必ず専門家や信頼できるエージェントに確認してもらう。 英語併記があっても、ベトナム語が優先される可能性が高い。 途中解約条項は、最も重要かつ見落としがちなリスクポイント。 契約前に「解約条件」「違約金」を必ず確認すること。 📝 契約書チェックリスト ベトナム語優先条項の有無 途中解約に関する条項(賃料何か月分が違約金?残り全額?) 保証金の返還条件 契約更新や貸主都合の解約条件 こうしたトラブルは、日本の商習慣との違いを知らないままベトナムでジャッジをしてしまったことで発生するトラブルです。こうしたトラブルを回避する上では、専門家の意見を仰ぐこと、日本とベトナムの商習慣の違いを事前に知っておくことが大切です。
2025/12/15
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日本と違う!ベトナムのオフィス契約の3つ落とし穴 ベトナムへの企業進出やオフィス移転は初めてという方が知っておくべき、ベトナムのオフィス契約の注意点をまとめてみました。 1. 借主の立場が日本とベトナムで大きく異なる 国ごとの商習慣が異なるように、ベトナムの不動産賃貸も日本と比べると大きく異なります。 ベトナムでは「貸主>借主」という力関係が基本です。 日本では宅建業法や重要事項説明などによって借主を保護する仕組みが整っています。ですがベトナムにはその考え方も業法も日本のようにはなっていません。 借主=企業側が弱い立場に置かれる このことを前提条件としてオフィス構築を考える必要があります。 2.法人設立と賃貸契約の順序に注意 ベトナムでは、 物件(不動産)の賃貸借契約の締結 貸主が提供する書類をもとに法人設立申請 という流れが一般的です。 しかし、貸主の書類に不備があると、契約後でも法人設立ができないケースが発生します。 その場合でも、借主は途中解約で保護されないことが多く、賃貸借契約のリスクを背負うことになります。 3.信頼できるエージェント選びを ベトナムでは日本と異なり、オーナー側が借主の判断を気長には待ってくれない傾向にあります。うかうかしていると、サッと他国の外資企業に手付金を打たれてしまい、検討中の物件が白紙になってしまうことは非常に良くあることです。そうした状況下で短期間で適切なリスクヘッジをし、判断を下すには、物件だけでなく、 ベトナムの商慣習に精通しているか 契約後のリスクに対応できるか こうした視点で頼れるエージェントを手を選ぶことがトラブルを防ぐ大きなポイントとなります。 まとめ ベトナムは「貸主が強い」という商習慣を理解する 契約後に法人設立ができないリスクがある 信頼できるエージェントと組むことでリスクを回避する
2025/12/14
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「ラストフロンティア」とも言われているベトナムへいざ進出!ベトナム新法人は通常オフィスとサービスオフィスのどちらが適しているのか、決断の手掛かりをわかりやすくご紹介します。 オフィスの種類と考え方 ベトナムのオフィスは大きく分けると2種類 通常の賃貸オフィスとサービスオフィスでは下記のような違いがあります。 🪑 通常オフィス vs 💻 サービスオフィス 🪑 通常オフィス 💻 サービスオフィス 契約期間 2〜3年(長期) 1か月〜(短期可) 引き渡し スケルトン(内装必要) 家具・ネット完備 コスト ㎡単価は割安 ㎡単価は割高 向いている企業 中長期計画、自由設計 少人数、進出準備、短期利用 通常オフィス 特徴:1棟をオーナーが所有するオフィスビル。 費用の内訳:家賃には管理費や税金(VAT)が含まれるが、光熱費や駐車場代は別。 引き渡し状態:スケルトン(内装なし)。契約後に入居者が内装工事を行う。 契約条件:2〜3年契約が一般的。途中解約は違約金が発生。家賃は3か月ごと前払い。 👉 中長期的に腰を据えて事業を行う企業に向いている。 サービスオフィス(レンタルオフィス) 特徴:机・椅子・ネット環境が整っており、PC一台ですぐ業務開始できる。 付帯サービス:電話受付、コピー・FAX、会議室やパントリーの利用(無料 or 有料)。 契約条件:1か月から契約できるなどフレキシブル。 種類:個室タイプ、コワーキングCo-working space、バーチャルオフィスVertual office。 👉 初期投資を抑えたい、進出準備中、短期利用したい企業に最適。 サービスオフィスは㎡単価では通常オフィスより割高となりますが、 どちらが良いかは「将来的な事業の計画」と「必要とされる面積」で自然と絞られてきます。 📌 どちらのオフィスを選ぶ? こんな企業には通常オフィスがおすすめ → 中長期で腰を据えて事業展開したい → 内装や空間を自由に設計したい 一方、 こんな企業にはサービスオフィスがおすすめ → 進出準備や少人数チームで柔軟に始めたい → 初期投資を抑えてすぐに業務を始めたい オフィスは社員のエンゲージメントを高める場 👥 人材定着に直結する“オフィス選び” ベトナムでは、日本以上に「オフィス環境」は社員のモチベーションに直結します。 コストばかりを最優先してしまい、通勤立地や執務の快適さを軽視し過ぎると、人材が離れてしまうリスクや、募集をかけても思ったように従業員が集まらないこともあります。 通勤事情:「移転で家から遠くなったので辞めます」という退職が珍しくない。 ビルのグレード:トイレや共用部の清潔さが悪化すると、それがストレスで転職につながる。 価値観の違い:会社への“忠誠心”よりも「一緒に働く人」「快適さ」を重視する傾向が強い。 👉 「オフィス環境を整えること=人材定着と成長への投資」と考えましょう。
2025/12/13
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