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AI時代、経営者が選ぶべき「勝てるオフィス」とは? (2/3) AIが変えるのは「ソフト」だけではない AIの普及は、オフィスのハードウェアにも変化をもたらします。 書類量、デスク配置、会議室のあり方まで、すべてがAIの普及と密接に関わり、それに合わせてオフィスも最適化されていきます。 今回は、AIの普及によって具体的にベトナムのオフィスがどのように変わっていくのか、動向予測をします。 書類収納スペースが「交流スペース」にベトナムでも変わるのか? まず、一般的に起こるオフィスの変化は紙の書類の激減です。 AI-OCR技術の進化により、手書き文字も含めた書類のデータ化が進みます。 経理の請求書処理や契約書管理などがデジタル化されることで、オフィスから巨大なキャビネットが姿を消します。ですが、これは主に他国での話で、ベトナムでは当面は例外となるでしょう。 一方、経済発展が続くベトナムにおいては、労働者がよりよい待遇と労働環境を求めてジョブポッピングする流れが当面続きます。そうした流れの中、社員流失の歯止め、エンゲージメント醸成の場として、オフィスを魅力的にアップデートしていく流れが強まっていきます。ベトナムでも、社員同士のコミュニケーションを促す「ラウンジ」「カフェスペース」快適な「チェア」、従来以上のオフィス像が売り手市場の労働者に対し求められてきます。かつて書類保管や備品倉庫のために費やしていたスペース賃料を、エンゲージメントを深める場への投資に転換していく流れが他国ではありますが、ベトナムでは今後、異なる独自の展開を見せ始めています。 「会議」の概念が変わり、会議室が減る 書類のストックスペースの観点からすると、ベトナムでは書類保管義務から、劇的な進展は当面起こりません。そこで次に着目するのが「会議室」です。 これまで、情報共有に多くの時間が割かれていましたが、AIの台頭により会議は従来型の「情報共有の場」から「意思決定とアイデア出しの場」へ徐々に変化していきます。 その結果、大きな会議室は一部の大企業以外は、古い働き方の象徴的存在として、徐々にプレゼンスが低下していくことが予想されます。 代わりに求められるのは、少人数ですぐに集まれる簡易的な打ち合わせスペース、マルチな機能を果たせるテーブル、オンラインブースです。 これらは、従来型の会議室の床面積を60%近く削減でき、コストを抑えた上で会議の質的変化に柔軟に対応でき、上昇するベトナム都市部のオフィス賃料に対する特効薬となりつつあります。スペースの新たな充実を図るオフィス内の質的変化の流れは、コロナ禍を経た後のAI台頭によりベトナムで独自の変化をし始めており、非常に興味深い動きと言えるでしょう。 AIがレイアウトを「自動生成」する時代 さらに先進的な動向として、オフィスレイアウトをAIが最適化する未来がすぐに来ることも予想されます。 従業員数や部署構成、出社率などのデータを入力すれば、AIが最適な席配置や動線計画を自動生成します。 「このエリアはあまり使われていないから、ミーティングブースに変えよう」といった提案もAIが行うようになるでしょう。 日本国内では、時間帯や業務内容に合わせてAIが照明や空調を制御し、空間を動的に変化させる「適応型オフィス」の導入も進んでいます。 ベトナムにおいては、ここまでの流れはまだ時期尚早ですが、無駄なスペースを削減し、コストパフォーマンスを最大化するリノベーションの例が着実に増えてきました。 可変性とデータ活用が鍵になっていく ここで重要なことは、AI時代のオフィスとは、一度作ったら終わりの「固定の箱」ではなく、 行動データに基づきアップデートし続ける「可変的な空間」としてのオフィスが増えてくることです。 セールスの固定席を廃止し、部分的なフリーアドレス化やABW(Activity Based Working)を導入することも、その第一歩で、最新の働き方に見合ったオフィスの組み替えという柔軟な発想がさらに経営者に求められくるでしょう。 オフィスのエンゲージメント醸成の取り組みは、日頃からオフィス内装業者へ相談し、近い将来のオフィス改修計画のために意見交換を始めている経営者は確実に増えています。 次回は、ここベトナムという地で、日本人経営者がどのようにAIとオフィスを活用して組織を強くしていくべきか、マネジメントの視点から解説します。
2026/01/31
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AI時代、経営者が選ぶべき「勝てるオフィス」とは? 第1回:AIと共存する経営戦略とオフィスの「意味」 AIの急速な進化により、オフィスの役割は「作業場」から「創造の場」へと激変しています。ベトナム在住の経営マネジメント層に向けた、AI時代の新しい働き方と、経営戦略としてのオフィスづくりの動向をレポートします。 なぜ今、オフィスの「再定義」が必要か 近年、日本国内だけでなく世界中で「働き方改革」と「AI活用」が同時進行で加速しています。 特に生成AIの登場は、私たちがこれまで当たり前だと思っていた「仕事」の定義を根底から覆しつつあります。 かつてのオフィスは、情報を集め、書類を作成し、管理する「作業場」でした。 しかし、単純作業やデータ処理をAIが担うようになってきた今、人がオフィスに集まる意味は何かが問われています。 ベトナムで経営の舵を取るビジネスパーソンも、将来のベトナムの急速な労働人口減少や労動意識の変化を肌で感じ始めているのではないでしょうか。 ベトナムにおける将来の労動生産人口の減少がわかっている中、AIを活用した労動生産性の向上は避けて通れない経営課題となります。この AI時代において、オフィスは単なる「低コストな箱」ではなく、企業の競争力を左右していく「投資の場所」へ変化していくことが予測されます。 本連載(全3回)では、AIと共存する未来のオフィス像を、オフィス構築の視点から紐解きます。 AIが担う「作業」と人間が担う「創造」の分離 先に結論を申し上げますと、周知のようにこれからのオフィスワークは「AIに任せる仕事」と「人が行う仕事」に明確に分かれていきます。 具体的には、データ入力、集計、議事録作成といった定型業務は、AIによってすでにその多くが自動化されています。 会議議事録の作成やメールの返信案の作成は、すでにAIが補佐しております。その結果、社員に求められるものは「意思決定」や「創造性」、「感情を伴うコミュニケーション」へよりシフトしていきます。 AIが論理的な正解や高度な推論を瞬時に出す一方、人間は「なぜそれを選ぶのか」という「文脈」を判断する必要性が高まってきます。 つまり、オフィスは効率的に作業をこなす「作業場」の域を超え、「文脈」を判断する者同士が対話し、イノベーションを生み出す「共創」の場へ徐々にシフトしていくことがベトナムでも予想されます。 「行きたくなる場所」でエンゲージメントを向上させる AIが普及し、リモートワークが可能になればなるほど、逆説的にリアルで魅力的な「フィジカル・オフィス」の付加価値は高まっていきます。 その気になれば<どこでも働けてしまう時代>だからこそ、<わざわざ出社したくなるオフィス>を提供する。 特にベトナムのような人材流動性の高い市場においては、魅力的なオフィス環境の提供は、優秀な人材を惹きつけ定着させる「強力な装置」となり得ます。快適なチェア、照明、清浄な空気、BGM、リフレッシュスペース、香り、コーヒーマシーン、スナックコーナー、社員の写真を飾る場所など、五感に訴えるオフィス環境づくりの整備が社員を 「ここで働きたい」と思わせ、今後のAI時代で勝ち残るための経営資源になっていく傾向が増していくでしょう。 [caption id="attachment_566" align="alignleft" width="1200"] RAKUSベトナム様のセカンド・オフィス。リフレッシュエリアにホテルラウンジのラグジュアリーを演出、エンジゲージメントとブランディングを意図的に融合させる試験の場に。[/caption] [caption id="attachment_753" align="alignnone" width="1200"] CRAFTEC新オフィス。執務チェアにUCHIDA社のAJ2とITOKI社のACTの日系チェアを採用。室内に環境音楽が流れ、人間の体内時計に合ったサーカディアン照明を採用。エアバスと同じフィルター性能の空気清浄機を導入し、ベトナム人社員がより働きやすいオフィス環境を自分たちで実験しています。[/caption] オフィスは「企業文化」を醸成する装置としての役割が強まっていく AI時代のオフィスは「企業カルチャーを醸成する装置」へ進化しはじめています。 AIで業務を効率化して生まれた余白の時間を、オフィス内の社員同士の対話やチームコミュニケーションに充てること。 そのための装置としてのオフィスをアップデートしていくことが、これからのオフィスに求められてくることが予想されます。 次回は、具体的にオフィスのレイアウトや機能がどう変わっていくのか、詳細な予測をお伝えします。
2026/01/20
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オフィス賃貸契約の更新解約トラブル集 日本とベトナムでは商習慣が大きく異なるため、こちらが無知であるほどトラブルのリスクは増大します。今回は、ベトナムで実際にあったオフィスの賃貸契約の更新時と解約時のトラブル事例をご紹介します。 事例1:更新拒否で退去を余儀なくされた 「まだ2年目なのに。出て行けと言われたら?」 念願のオフィスを開設して2年。内装にもこだわり、社員も増えてきてようやく事業が軌道に乗り始めた!そんな矢先・・・。契約満了が近づき、当然のように更新を申し出た。日本では自動更新が一般的だから、「このまま使い続けられるだろう」と思い込んでいた。 しかし、オーナーからの答えは。 「更新? できません。このビルは今後自社で使いますから。」 耳を疑った。 内装の減価償却がまだ終わっていない。引っ越しや新オフィスの内装にかかる追加コストを考えると、頭が真っ白に。 せめて移転費用や内装費用の一部を負担してもらえないかと交渉してみたが、 「デポジット(保証金)を返す以外は契約通りです。補償??契約書読んでください。補償の義務はありません。」 日本なら借主に有利な慣習があり、追い出されるケースはほぼない。 だがベトナムでは、オーナーの一存で契約更新の拒否が珍しくないことです。 こうして、事業の安定期に突然の移転を強いられることになる場合もありますので注意しましょう。 なぜ起きる?(背景解説) 貸主優位の商慣習:ベトナムでは契約更新は保証されず「自動更新」は基本的に存在しない。 オーナー都合の変更:所有者が「自社利用に切り替える」「売却する」と決めれば、借主は退去せざるを得ない。 グレードの低いビルほどリスク大:所有者の事情で急な方向転換が起こりやすい。 📌 ここがポイント(教訓) 「更新できる前提」で契約しない。 契約更新不可のリスクを前提に、移転コストを事業計画に織り込む。 日本の感覚で「居続けられるはず」と思い込まない。 契約書に自動更新条項を入れる交渉は難しいため、オーナー都合での退去も想定する。 📝 事前対策リスト 契約更新に関する条文を必ず確認(「更新できる」とは限らない)。 内装投資額は短期間で回収できる設計に。 物件選びの際は「所有者の事業方針」「売却の可能性」も調査。 長期利用が絶対条件なら、グレードの高い物件や信頼性あるオーナーを優先。 事例2:ベトナム語の契約書を読まずサインしてしまった・・・ 「サインしてしまった一枚の契約書が命取りに」 契約の場に出された厚い契約書。すべてベトナム語で書かれていました。 「英語版もありますよ。ただ、公式文書としてはベトナム語が優先です」と伝えられた。 時間も迫っているし、迷いつつも、エージェントの「大丈夫ですよ」という一言で、 細かい条文を読み込む余裕もなく、内容を正確に理解しないままサイン完了。 それから1年後・・・・。 事業が拡大し、広いオフィスに移転する必要が出た。 ところが解約を申し出た瞬間、オーナーはこう言った。 「途中解約??そんなの認めませんよ。そちらの都合で出て行くなら、保証金は没収し、残りの契約満了月までの賃料も全額支払ってもらいます。」 驚いて契約書を読み返すと・・・確かにその条文が! 目を凝らせば、途中解約時の違約金は「残り契約期間の賃料全額」と明記されていたのだ。 「嗚呼、もっと早く確認しておけば…」 サインした一枚の契約書が、会社の資金繰りを大きく揺るがす結果となった。 なぜ起きる?(背景解説) ベトナム語優先条項:契約書が多言語併記でも、最終的にベトナム語版が法的効力を持つケースが一般的。 途中解約は原則不可:ベトナムでは、借主側からの途中解約は基本的に認められない。 強気な貸主の解釈:保証金没収は当然、さらに「残存期間の賃料請求」まで発生するケースが多い。 📌 ここがポイント(教訓) 契約書は必ず専門家や信頼できるエージェントに確認してもらう。 英語併記があっても、ベトナム語が優先される可能性が高い。 途中解約条項は、最も重要かつ見落としがちなリスクポイント。 契約前に「解約条件」「違約金」を必ず確認すること。 📝 契約書チェックリスト ベトナム語優先条項の有無 途中解約に関する条項(賃料何か月分が違約金?残り全額?) 保証金の返還条件 契約更新や貸主都合の解約条件 こうしたトラブルは、日本の商習慣との違いを知らないままベトナムでジャッジをしてしまったことで発生するトラブルです。こうしたトラブルを回避する上では、専門家の意見を仰ぐこと、日本とベトナムの商習慣の違いを事前に知っておくことが大切です。
2025/12/15
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日本と違う!ベトナムのオフィス契約の3つ落とし穴 ベトナムへの企業進出やオフィス移転は初めてという方が知っておくべき、ベトナムのオフィス契約の注意点をまとめてみました。 1. 借主の立場が日本とベトナムで大きく異なる 国ごとの商習慣が異なるように、ベトナムの不動産賃貸も日本と比べると大きく異なります。 ベトナムでは「貸主>借主」という力関係が基本です。 日本では宅建業法や重要事項説明などによって借主を保護する仕組みが整っています。ですがベトナムにはその考え方も業法も日本のようにはなっていません。 借主=企業側が弱い立場に置かれる このことを前提条件としてオフィス構築を考える必要があります。 2.法人設立と賃貸契約の順序に注意 ベトナムでは、 物件(不動産)の賃貸借契約の締結 貸主が提供する書類をもとに法人設立申請 という流れが一般的です。 しかし、貸主の書類に不備があると、契約後でも法人設立ができないケースが発生します。 その場合でも、借主は途中解約で保護されないことが多く、賃貸借契約のリスクを背負うことになります。 3.信頼できるエージェント選びを ベトナムでは日本と異なり、オーナー側が借主の判断を気長には待ってくれない傾向にあります。うかうかしていると、サッと他国の外資企業に手付金を打たれてしまい、検討中の物件が白紙になってしまうことは非常に良くあることです。そうした状況下で短期間で適切なリスクヘッジをし、判断を下すには、物件だけでなく、 ベトナムの商慣習に精通しているか 契約後のリスクに対応できるか こうした視点で頼れるエージェントを手を選ぶことがトラブルを防ぐ大きなポイントとなります。 まとめ ベトナムは「貸主が強い」という商習慣を理解する 契約後に法人設立ができないリスクがある 信頼できるエージェントと組むことでリスクを回避する
2025/12/14
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ベトナムでマネジメントサイドに携わっている方なら誰もがもつ悩み、それが退職者問題です。物価と給与が上昇し続けるベトナムで、退職者を少なくするオフィスマネジメントの重要さが年々増しています。そんな中、直近3年間の退職者ゼロを達成しているStarts International Vietnam 星社長が、COCOROサービスオフィスを開業を機にさらに推し進めている3つの取り組みについて、共有していただきました。 スターツ運営「COCORO」の取り組み(3つの工夫) 💡 エンゲージメントを高める実践例 どれもコストをかけずに始められるものです。 ① 毎朝の発表(朝礼) サービスや時事ネタの共有で「観察力・思考力」を育成 ・スケジュール共有だけでなく、日替わりで「時事ネタ」「サービスで感じたこと」などを発表 ・リーダーや同僚がコメントし、瞬発力や思考力を鍛える場に。 👉 インプットとアウトプットを繰り返すことで、サービス業に必要な観察力・発想力を育成。 実践している内容 ┌──────────────────────┐ │ 朝礼では毎日1つのテーマを発表し、全員でコメントする | └──────────────────────┘ 【1】日めくりカレンダーのIsm 🗣 発表者 → 👤 リーダー&私がコメント (会社の理念を日常に結びつける) 【2】時事ネタ発表 📰 発表者 → 👤 私がコメント ベトナムではニュースを日常体系的にチェックする習慣が日本に比べて弱い傾向にあります。まずはこうした時事ネタ発表でニュースに日常的に興味を持ってもらい、仕事の視点で考える力を養っていきます。 ここでメンバーをランダムに指名してみます。 🎲 指名された人 → 🗨 意見を発表 これは、得意分野でないことでも自分の意見を言えるような瞬発力や思考整理力を鍛える取り組みです。 【3】生活で感じたサービスの質 🛍 発表者 → 👤 私がコメント 私たちは日常的に無意識でもあちこちで様々なサービスを受けています。そうした身近に受けたサービスを切り取って深掘りします。サービスの質はどうだったか?自分ならどんな工夫をしただろうか?サービスを受けた側が感じたことを発言して皆で学び合う。 *例)休日にショッピングをした時の店員の対応で気になったことがあった。それを自分たち の仕事に置き換えた時、どんな教訓があるのかを自分で考えたことを発表。 さらに、出た発表をチームで意見交換。自社のアフターサービス・チームのレベルUPに繋げる。 👥 チーム視点で意見交換 何気ない誰かの意見でもチーム内で意見をまとめさせるようにすると、他人事を自分事と考えていく思考法が育ってきます。これがチーム力UPへ繋がります。 *目の前の課題や出来事を「会社のこと」「誰かの仕事」と切り離さず、 自分に関係があること=自分が責任を持つべきこととして考え、行動するように変わってくる。 【6】全体ディスカッション 💬 チーム全員でコメント 他人事だったものが、自分に関わる事としてチームでの学びが定着し始めると、チーム内の発言も徐々に活性化してきます。発言者の偏りを減らし、皆が意見を述べるようにチームが変わってきます。 🎯 取り組みを通じて育まれる力 STARTSのベトナムでのこれらの朝礼の取り組みは、サービス業として必要な視点と姿勢を日常的に共有する場になっています。 ここで磨かれるのは、次の3つの力です。 ニュースを自分の言葉で話す力 👉 情報を理解し、自分の視点を交えて伝える力 他人の意見に瞬時に反応する力 👉 瞬発的に整理し、自分の考えをアウトプットする力 日常の気づきを仕事に活かす力 👉 生活の中の体験をサービス改善につなげる力 朝礼を変える。これはベトナムでコストを掛けずにできるエンゲージメントの向上方法です。 ② 毎朝の掃除(責任感と時間意識の醸成) ほとんどの企業様は清掃員を雇って定期的にオフィスを綺麗にしていると思いますが、当社は社員全員で共用部を掃除 しています。これは仕事場に 愛着と責任感を持たせること、また遅刻防止にも繋がります。 300㎡の共用部を部門ごとに分担し、毎朝全員で掃除。 ベトナムでは「掃除は専門職がやるもの」という常識を崩し、オフィスに愛着を持たせる。 業務開始とともに掃除を始める→遅刻すると代わりの人が掃除をすることになり、仲間に迷惑がかかるため、自然と時間厳守の文化に変化。 👉 オフィスをきれいに保つ以上に、責任感と一体感を高める効果が生まれます。 掃除導入の6つの目的 オフィスへの愛着を持つ 新しい空間を「自分たちの場」として大切にできる。 汚れに気づき、建材や家具の特性を知る どこが傷みやすいかを理解し、メンテナンス意識が高まる。 他者への気配りを育てる 周囲の動きに気を配る習慣が、サービス業の基本姿勢につながる。 時間厳守の徹底 掃除開始に遅れる=仲間に迷惑をかける → 自然と時間意識が強化。 利用者へのアピール 社員が掃除している姿を見せることで、利用者もきれいに使おうという意識が生まれる。 コミュニケーションの促進 デスクを離れて一緒に作業することで、上司と部下・メンバー同士が気軽に声を掛け合える。朝の表情から気持ちの変化にも気づきやすくなり、1対1の立ち話が増える副次的な効果も。 成果 「掃除は一部の人の仕事ではなく全員でやる」という体験が、社員に新しいチャレンジを共有する一体感をもたらしました。 サービスオフィス事業に直接関わっていないメンバーも「自分が支えたプロジェクトだ」という気持ちを持ち、結果として全体のエンゲージメント向上につながっています。 ③ 週1回のラジオ体操(健康と一体感) 実践内容 サービスオフィスでは「健康デー」を週1回設定。朝9時から、社員全員+入居者の有志が一緒にラジオ体操を行う。 業務外で全員が同じことをやり、体を動かすことで、仲間意識と一体感が自然に高まる。 体を動かす習慣は、健康面のサポートにもつながる。 拡がり 有志による「運動部」も発足。月に1〜2回、休日に集まりバドミントンなどで汗を流す活動を継続している。 日常業務以外で顔を合わせる機会が、職場の空気を柔らかくし、社員間の関係性を深める効果がある。 👉 楽しみながら健康的に働ける文化を醸成し、エンゲージメント向上に直結している。 こうした取り組みの成果は? 直接的な因果関係を断定はできないが、こうした活動を続けてきた結果、直近3年間で退職者がゼロに。 日本人駐在員1名体制を維持しながら、ベトナム人スタッフは6名から12名へと倍増。 オフィスを通したエンゲージメント強化の取り組みが実を結んできている 【📌 オフィスは「コスト」ではなく「投資」】 オフィスは社員の働き方と定着率を左右する大切な箱です。その環境を整えることは、ハード面もそうですが、ソフト面での社員の成長を促すためには、従業員の定着が大きく影響します。これからもこうした工夫を積極的に続けていきたいと思っております。 COCOROのこもったあたたかい空間でベトナムビジネスの加速を。 COCOROサービスオフィス (from the heart by STARRTS) SERVICED OFFICE, VIETUAL OFFICE, CO-WORKING , MEETING ROOM
2025/12/13
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「ラストフロンティア」とも言われているベトナムへいざ進出!ベトナム新法人は通常オフィスとサービスオフィスのどちらが適しているのか、決断の手掛かりをわかりやすくご紹介します。 オフィスの種類と考え方 ベトナムのオフィスは大きく分けると2種類 通常の賃貸オフィスとサービスオフィスでは下記のような違いがあります。 🪑 通常オフィス vs 💻 サービスオフィス 🪑 通常オフィス 💻 サービスオフィス 契約期間 2〜3年(長期) 1か月〜(短期可) 引き渡し スケルトン(内装必要) 家具・ネット完備 コスト ㎡単価は割安 ㎡単価は割高 向いている企業 中長期計画、自由設計 少人数、進出準備、短期利用 通常オフィス 特徴:1棟をオーナーが所有するオフィスビル。 費用の内訳:家賃には管理費や税金(VAT)が含まれるが、光熱費や駐車場代は別。 引き渡し状態:スケルトン(内装なし)。契約後に入居者が内装工事を行う。 契約条件:2〜3年契約が一般的。途中解約は違約金が発生。家賃は3か月ごと前払い。 👉 中長期的に腰を据えて事業を行う企業に向いている。 サービスオフィス(レンタルオフィス) 特徴:机・椅子・ネット環境が整っており、PC一台ですぐ業務開始できる。 付帯サービス:電話受付、コピー・FAX、会議室やパントリーの利用(無料 or 有料)。 契約条件:1か月から契約できるなどフレキシブル。 種類:個室タイプ、コワーキングCo-working space、バーチャルオフィスVertual office。 👉 初期投資を抑えたい、進出準備中、短期利用したい企業に最適。 サービスオフィスは㎡単価では通常オフィスより割高となりますが、 どちらが良いかは「将来的な事業の計画」と「必要とされる面積」で自然と絞られてきます。 📌 どちらのオフィスを選ぶ? こんな企業には通常オフィスがおすすめ → 中長期で腰を据えて事業展開したい → 内装や空間を自由に設計したい 一方、 こんな企業にはサービスオフィスがおすすめ → 進出準備や少人数チームで柔軟に始めたい → 初期投資を抑えてすぐに業務を始めたい オフィスは社員のエンゲージメントを高める場 👥 人材定着に直結する“オフィス選び” ベトナムでは、日本以上に「オフィス環境」は社員のモチベーションに直結します。 コストばかりを最優先してしまい、通勤立地や執務の快適さを軽視し過ぎると、人材が離れてしまうリスクや、募集をかけても思ったように従業員が集まらないこともあります。 通勤事情:「移転で家から遠くなったので辞めます」という退職が珍しくない。 ビルのグレード:トイレや共用部の清潔さが悪化すると、それがストレスで転職につながる。 価値観の違い:会社への“忠誠心”よりも「一緒に働く人」「快適さ」を重視する傾向が強い。 👉 「オフィス環境を整えること=人材定着と成長への投資」と考えましょう。
2025/12/13
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問題の未然防止コンサルタントが教える オフィスマネジメント1 ルールを守らせたいなら「ステップを削れ」 「なぜ、あれほど言ってもやってくれないのか?」 簡単なことのはずなのに、スタッフがなかなかやってくれない。 良かれと思って始めたルールが、まったく定着しない。 そんな経験はないでしょうか?しかも厄介なのは、それがスタッフの「反抗」ではないということです。むしろ、彼らはあなたの指示に心から同意し、やろうと努力している。それでも、なぜか現場では定着しない、うまくいかない…そんな「同意の上で失敗している」パターンに、あなたは悩まされていませんか?原因は、そのルールが人の注意や意識に依存した設計になっているからです。 自分自身が“守れなかった”ルール 私自身が、痛感した話があります。あるとき、私は新規工場の生産立ち上げ準備を担当していました。工場はすでに清掃が行き届いており、内部は清潔。しかし工業団地側の事情で、急遽、外構工事が始まり工場の外周が塵だらけになってしまいました。この工場では本来、「外は外履き、中は上履き」というルールを設けていました。しかし、普段からそれが徹底されていたわけではありませんでした。屋内が汚れることを防ぐべく、私は責任者として「上履きの徹底」を強く再アナウンスしました。出入り口に注意喚起の貼り紙もし、毎朝の朝礼でも念押し。スタッフも「分かりました」とうなずいてくれていました。そんな中、私の管轄の隣の工場で急用があった際に、私自身が上履きのまま外へ出て行ってしまったのです。スタッフに指摘されるまで、まったく気づきませんでした。自分が言ったルールを、自分が守れていなかった。正直、ショックでした。 失敗の原因は「意識の欠如」ではない 「なぜ、自分はこんな簡単なルールを守れなかったのか?」その結論はシンプルでした。 “ステップが地味に多い”からです。このルールを守るには、最低3つの行動が必要でした。 ルールを思い出す(または貼り紙を読んで内容を認識する) 下駄箱まで歩く 靴を履き替える 特に1と2でつまづき易い。急いでいれば、貼り紙は目に入らない。下駄箱が少し離れていれば、「ちょっとだけだから…」とスルーしてしまいたくなる。私はそこで、環境を変えることにしました。外構工事の期間中だけ、下駄箱を出入り口の目の前に移動させたのです。 絵を見ていただければ分かる通り、正直邪魔な位置ですが、それがミソです。結果、出入り口に立った瞬間に下駄箱が視界に入る。自然とルールを思い出し、履き替える流れができました。 私自身の履き替え忘れはゼロになり、スタッフの行動も明らかに変化しました。工事が終わってからも、下駄箱は元の場所ではなく、動線上の目立つ位置に再設置。ルールの定着率が飛躍的に改善しました。 ルールが守られないのは「人間が悪い」のではない このエピソードから学んだことはシンプルなことでした。人の注意力や意識に大きく頼ったルール設計では、行動は定着しない。人には悪意があるわけじゃない。でも「つい、うっかり」「少しだけなら」という気持ちが出るのが人間です。だから、意識ではなく環境で制御するのが現実的なのです。「靴を履き替える」という簡単な動作であっても、必要なステップ数が多かったり不慣れな行動を要求すると実行されにくい。それなら「そのルールで実現したい結果に至るまでのステップをとことん削る」べきです。数を減らすだけではなく、ネックになりやすいステップ自体を無くすこともできれば理想的です。 この考え方は、あらゆる場面に応用できる こうした考え方が適用できるのは、工場だけに限りません。例えば、 新しいチェック表を導入したいとき ミス再発のフローを作りたいとき 報告や記録の習慣を定着させたいとき そのたびに、「新しい手順」を足すのではなく「今のプロセスの中に自然に埋め込めるか?」「敢えてステップを削り、その代わりとなる機能を果たせる変更を物理的に加えることで、目的を達成できないか?」これを問い直すことが重要です。 文化として根づかせるには こうした「省ステップの仕組みづくり」は、暫定的には管理者や駐在員がお手本を見せる必要があると思います。ですが恒久的には、現場のスタッフ自身が考え、実行する文化に昇華させるべきです。 そのために必要なのは、まず1つ、「成功体験」を共有すること。一つの成功事例が、チーム全体の「こうすればうまくいく」という型になります。改善とは、新しい何かを足すことではなく、今あるステップを“減らす”ことから始める。そもそもネックになっているステップ自体をなくすことが出来れば問題は消える。この考え方をチームで共有できたとき、あなたの現場は確実に変わり始めます。 あなたの現場でも試してみてください 今、あなたのチームで「ルールが守られない」「作業が定着しない」ものはありますか?それが3ステップ以上かかる動作なら、まず1つだけ削ってみてください。「決めたのにできない」は、決して“人のせい”ではありません。ルール設計を見直し、省ける部分を省くことで、無理なくできるように変えられるのです。そうやって、守るべきルールは最小の注意力で遵守し、本来優先すべきより付加価値の高い仕事に対してもてる集中力を投下しやすい環境を作っていく。 それが「あるべき姿」です。
2025/11/26
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問題の未然防止コンサルタントが教える オフィスマネジメント2 「ルーティン=ネガティブなもの」は大きな誤解 「ルーティン」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?「決まりきったつまらない作業」「機械的で人間味がない」「思考停止の状態」… もしそんなネガティブなイメージが頭をよぎったなら、それはあなたがまだ、質の高いルーティンの恩恵を経験していないからかもしれません。そもそも、なぜルーティンが必要なのでしょうか?それは、安定して質の高い成果を確実に生み出し続けるために他なりません。この目的のためにこそ、ルーティンは私たちの仕事の「土台」となるのです。 工場におけるルーティンは「成果の土台」 たとえば生産工場では、日々の作業はまさにルーティンの連続です。 朝会でその日の生産目標や注意事項を確認する 自分の担当工程の設備を始業前に点検し、記録をつける 決められた作業手順に従って加工を進める 異常や不良が発生したら即座に作業を止め、ラインリーダーに報告して指示を待つ 定められた時間に休憩を取る 終業時には点検と清掃を行い、業務を終える 工場では、作業者は「ルールを守る人」、ラインリーダーは「ルールを守らせる人」、間接スタッフは「ルールを作る人」として、それぞれの役割が明確に分担されています。 ここで言うルールとは、広義には「ルーティン」のことです。そして工場が目指すのは、少ない人数で、安定的かつ高品質な製品を納期までに生産し続けること。 この目的を実現するための手段が、ルーティンなのです。ルーティンがなければ、日々の作業は属人化し、品質や納期は不安定になるでしょう。 ルーティンは創造性を奪うのではなく、引き出す 冒頭で触れたルーティンに対するネガティブな印象は、それに従う状況に対する「自由度のなさ」や「創造性の欠如」を連想される事によるものでしょう。ですが、それは大きな誤解です。なぜなら、ルーティンは一度決まれば厳格に守られるべき「基準」であると同時に、常に改善を通じて進化させていくものだからです。その基準が常に最適である保証はありません。実際、工場では日々大小さまざまな問題が発生します。作業者の不注意、部品の欠陥、機械の故障、あるいは天災などの不可抗力。こうした事象が起きたとき、間接スタッフの本来の仕事は、単なる暫定対応だけではなく、根本原因の特定と再発防止に向けた恒久対策の立案・実行にあります。にもかかわらず、ありがちなのはこうです。「作業者がルーティンを守らなかったせいだ」と責任を押しつけ、再教育で終わらせる。これは、表面的な対症療法にすぎません。本来見るべきは、「なぜルーティンが守れなかったのか」「そもそもそのルーティンに無理があったのではないか?」という構造的な視点です。問題が起きたときこそ、人ではなくルーティンの中に原因を見出すべきです。この「問題解決」のプロセスこそ、ルーティンが創造性を引き出す場となるのです。 改善のプロセスはこうなります: 問題の分析と原因の特定 ルーティンの改定案を設計 正式なルーティンとして承認・明文化 教育を通じて現場へ展開・定着させる このサイクルこそが、まさに創造性を発揮する場です。むしろルーティンがない状態で「工夫してくれ」と言われても、基準がなければ何をどう改善していいのか分からず、ただ混乱が生まれるだけです。制約があるからこそ、創造性が引き出されるのです。 オフィス業務でもルーティン設計は有効 「創意工夫してほしい」と期待するのであれば、まず必要なのは明確な基準(ルーティン)です。 創造性とは、白紙の状態から生まれるものではありません。完全に自由な状態では、ほとんどの場合、どこから手をつけていいか分からない混沌が生まれるだけです。しかし、明確なルーティンという「制約」があるからこそ、その中で最も効率的で革新的な方法を探るという、本質的な創造性が発揮されるのです。 これは工場に限った話ではありません。たとえばオフィスでの来客対応、会議の準備、社内連絡…これらも、明確なルーティンとして設計・明文化しておくことで、誰がやっても一定以上の成果を再現できるようになります。逆に、ルーティンが曖昧なままだと属人化しやすく、抜け漏れやトラブルが起きやすくなります。良質なルーティンは、組織全体の「思考と行動の土台」となるのです。 まとめ:ルーティンは「思考停止」ではなく「思考の起点」 ルーティンがあるからこそ、改善できる。ルーティンがあるからこそ、創造的に仕事ができる。むしろ、ルーティンを軽視している組織こそが、創造性を殺してしまっているのではないでしょうか?“良いルーティン”とは、「安定性」と「進化性」の両方を支える構造です。そして、その運用と改善のサイクルの中にこそ、創造性は息づいているのです。できる業務は徹底的にルーティン化し、その運用負担を最小限にする。そのことこそ、本来人の力が最も求められる、判断・工夫・創造を要する業務(例:顧客との深い対話、新しいサービス開発、未解決の問題への挑戦)に集中できる環境を整えます。「ルーティンは創造性を潰すもの」ではありません。むしろ、創造性を発揮するための「土台」として設計すべきものなのです。 それが「あるべき姿」です。
2025/11/26
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問題の未然防止コンサルタントが教える オフィスマネジメント3 人を動かすのは「命令」でも「ご褒美」でもない 「北風と太陽」 「何度注意しても、なぜか同じミスが減らない…」「簡単な業務のはずなのに、いつまで経っても現場に定着しない…」現場で働く方なら、誰もが一度はこんな「もどかしさ」を感じたことがあるのではないでしょうか。 そして、そのたびに試すのが、「もっと強く指示する」「繰り返し注意する」「ルールを厳格に明文化する」といった、いわば「真っ向勝負」のアプローチ。一時的には効果が見えるかもしれませんが、やがて反発が生まれ、現場は疲弊し、指示そのものも形骸化していく負のループに陥りがちです。 もし、あなたがこのループから抜け出せないと感じているなら、それは「他に手がない」と思い込んでいるからかもしれません。 そんなときこそ、思い出してほしい物語があります。 イソップ童話「北風と太陽」です。 行動は、強制ではなく「理由」で引き出せる 旅人のコートを脱がせようとした北風は、力任せに風を吹きつけました。 しかし、旅人はますますコートを強く握りしめるばかりです。一方、太陽は暖かく照らすことで、旅人が自ら進んでコートを脱ぐ状況を作り出しました。 これは単に「押してダメなら引いてみろ」というような話ではありません。そこには、人の行動変容における本質的な違いが隠されています。 北風: 行動を「強制」しようとする 太陽: 行動を「自ら選びたくなる状況」に変える つまり、『やりたくない』という反発の力に対し、『やらせる』という強制の力で対抗してはいけないのです。 そうではなく、相手の「やりたくない」という心の向きを変えて、「やりたくなる」方向へ導くこと。これこそが、太陽的アプローチです。 私たちの職場でも、この原理を応用し、「行動を取る理由」を設計することで、人の行動は驚くほど自然に変わっていきます。その実例を次に紹介しましょう。 実例:IT部門を変えた「そうしたくなる仕掛け」 具体的な成功事例をご紹介します。 私が工場のIT部門を担当していたときの話です。 当時、会社には約100名の事務スタッフがおり、IT部門には毎日、似たようなIT関連トラブル対応の依頼が飛び込んできていました。その多くは過去に何度も発生した問題ばかり。にもかかわらず、その場しのぎの対応ばかりが繰り返され、根本的な再発防止の取り組みはほとんど行われていませんでした。 「再発防止を徹底しなさい」と指示を出しても、なかなか動いてもらえない。 なぜか?それは、スタッフの心理にこんな構図があったからです。 「トラブルに対応している方が『仕事してる感』が出る」 「周りに直接感謝されるから、対策するより対応した方が気持ちいい」 私はこの状況に対し、“太陽的”施策を行いました。 【実施したこと:意識と環境の変革】 IT部門の役割を再定義: 「トラブル対応」ではなく、「社員のパフォーマンス最大化をITで支える(ITを止めないこと)」と役割を明確化 評価基準の転換: トラブル対応件数ではなく、「再発防止に向けた行動」を高く評価対象に変更。逆に、同じトラブルの繰り返し対応は評価しない仕組みに 依頼ルールの明確化: 口頭や電話での受付を禁止し、専用のフォーム経由でのみ受け付けるように変更。フォームにない案件は評価対象外と明言。これにより、すべてのトラブルが記録され、問題のパターンが可視化される仕組みを構築 【結果:行動が劇的に変化】 ITスタッフは、「再発させないこと」が自身の評価に直結すると認識 トラブルを放置するより、「根本を解決する方が自分にとって得だ」と思える環境に変化 結果、同じようなミスが激減し、IT部門全体が“トラブル予防集団”へと劇的に変化 このように、環境と評価の構造をデザインするだけで、人の行動は自然に、そして自発的に変わっていくことを私たちは実感しました。 「なぜやってくれないのか?」という問いの根源にある原因を深く見つめ、その原因となって働いている心理的・構造的な力を、どうすれば「やりたくなる」方向へ向けられるか?それを問う必要があるのです。 応用:気持ちに頼る行動ほど「太陽戦略」で 会社の本業に直結する業務では、どうしても「北風的」なルールや評価になりやすい側面があります。何でもかんでも太陽的にできればそれに越したことはありませんが、前述のIT部門の例は、比較的変革の余地が大きいケースかもしれません。一方で、個々人の「気持ち」や「意識」に頼らざるを得ないような領域、例を挙げれば 職場での気持ちの良い挨拶の習慣 ヒューマンエラーを防ぐための指差し呼称などの安全行動 チーム内の円滑なコミュニケーションを促す小さな気配り といった、「行動していても心が伴っていなければ意味がない行動」こそ、太陽的な工夫が非常に有効です。例えば「気持ちの良い挨拶が定着しない」という職場では、「挨拶に相手の名前を添える」だけで劇的に改善した例があります。誰しも自分の名前は好きなものですから、名前を呼ばれた相手は喜びを感じ、自然と笑顔で挨拶を返すようになります。それが伝染し、職場全体の挨拶の質が向上したのです。 最後に:仕組みで「やりたい」をつくる 人の行動を変えたいなら、「命令」よりも「理由」の設計です。その行動を取ることで「自分にとってメリットがある(得をする)」「居心地が良くなる」「正当に評価される」といった、心理的・構造的な「やりたくなる」理由を組み込むこと。そんな仕組みをつくることで、人は自然と動き始めます。 あなたの現場にも、「北風」になってしまっている仕組みはありませんか? 「行動そのものに、自ら『やりたい』と思えるような意味や理由を持たせることはできないか?」そんな問いから始めてみてください。 「コートを脱がせたいなら暑くさせる」「力に力で対抗しない」 それが、人を自発的に動かすための「あるべき姿」なのです。
2025/11/24
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