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AI時代、経営者が選ぶべき「勝てるオフィス」とは? (2/3)
2026/01/31
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マネジメント

AI時代、経営者が選ぶべき「勝てるオフィス」とは? (2/3)
AIが変えるのは「ソフト」だけではない
AIの普及は、オフィスのハードウェアにも変化をもたらします。 書類量、デスク配置、会議室のあり方まで、すべてがAIの普及と密接に関わり、それに合わせてオフィスも最適化されていきます。
今回は、AIの普及によって具体的にベトナムのオフィスがどのように変わっていくのか、動向予測をします。
書類収納スペースが「交流スペース」にベトナムでも変わるのか?
まず、一般的に起こるオフィスの変化は紙の書類の激減です。 AI-OCR技術の進化により、手書き文字も含めた書類のデータ化が進みます。 経理の請求書処理や契約書管理などがデジタル化されることで、オフィスから巨大なキャビネットが姿を消します。ですが、これは主に他国での話で、ベトナムでは当面は例外となるでしょう。
一方、経済発展が続くベトナムにおいては、労働者がよりよい待遇と労働環境を求めてジョブポッピングする流れが当面続きます。そうした流れの中、社員流失の歯止め、エンゲージメント醸成の場として、オフィスを魅力的にアップデートしていく流れが強まっていきます。ベトナムでも、社員同士のコミュニケーションを促す「ラウンジ」「カフェスペース」快適な「チェア」、従来以上のオフィス像が売り手市場の労働者に対し求められてきます。かつて書類保管や備品倉庫のために費やしていたスペース賃料を、エンゲージメントを深める場への投資に転換していく流れが他国ではありますが、ベトナムでは今後、異なる独自の展開を見せ始めています。
「会議」の概念が変わり、会議室が減る
書類のストックスペースの観点からすると、ベトナムでは書類保管義務から、劇的な進展は当面起こりません。そこで次に着目するのが「会議室」です。 これまで、情報共有に多くの時間が割かれていましたが、AIの台頭により会議は従来型の「情報共有の場」から「意思決定とアイデア出しの場」へ徐々に変化していきます。
その結果、大きな会議室は一部の大企業以外は、古い働き方の象徴的存在として、徐々にプレゼンスが低下していくことが予想されます。 代わりに求められるのは、少人数ですぐに集まれる簡易的な打ち合わせスペース、マルチな機能を果たせるテーブル、オンラインブースです。
これらは、従来型の会議室の床面積を60%近く削減でき、コストを抑えた上で会議の質的変化に柔軟に対応でき、上昇するベトナム都市部のオフィス賃料に対する特効薬となりつつあります。スペースの新たな充実を図るオフィス内の質的変化の流れは、コロナ禍を経た後のAI台頭によりベトナムで独自の変化をし始めており、非常に興味深い動きと言えるでしょう。
AIがレイアウトを「自動生成」する時代
さらに先進的な動向として、オフィスレイアウトをAIが最適化する未来がすぐに来ることも予想されます。 従業員数や部署構成、出社率などのデータを入力すれば、AIが最適な席配置や動線計画を自動生成します。 「このエリアはあまり使われていないから、ミーティングブースに変えよう」といった提案もAIが行うようになるでしょう。
日本国内では、時間帯や業務内容に合わせてAIが照明や空調を制御し、空間を動的に変化させる「適応型オフィス」の導入も進んでいます。 ベトナムにおいては、ここまでの流れはまだ時期尚早ですが、無駄なスペースを削減し、コストパフォーマンスを最大化するリノベーションの例が着実に増えてきました。
可変性とデータ活用が鍵になっていく
ここで重要なことは、AI時代のオフィスとは、一度作ったら終わりの「固定の箱」ではなく、 行動データに基づきアップデートし続ける「可変的な空間」としてのオフィスが増えてくることです。 セールスの固定席を廃止し、部分的なフリーアドレス化やABW(Activity Based Working)を導入することも、その第一歩で、最新の働き方に見合ったオフィスの組み替えという柔軟な発想がさらに経営者に求められくるでしょう。
オフィスのエンゲージメント醸成の取り組みは、日頃からオフィス内装業者へ相談し、近い将来のオフィス改修計画のために意見交換を始めている経営者は確実に増えています。
次回は、ここベトナムという地で、日本人経営者がどのようにAIとオフィスを活用して組織を強くしていくべきか、マネジメントの視点から解説します。

執筆者
吉越 誠一郎
- 会社名
- CRAFTEC VIETNAM CO., LTD.
- 業種
- オフィスの内装工事やコンサルティング、PM業務、コンセプトデザイン、ITやセキュリティソリューション等、オフィス構築に関わる業務全般に従事。
- 自己紹介
- CRAFTEC VIETNAM代表。早稲田大学在学中からバーテンダー修行。バー経営で反響営業の本質を学び、その後10年間住宅建築の営業職に従事。2017年ベトナム移住。フロンティアコンサルティング・ホーチミン支店長を経て、2025年 CRAFTEC VIETNAM設立。現在までベトナムで日系企業200社以上のオフィス構築を担当。
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